NHK映像の世紀バタフライエフェクト一羽の蝶の羽ばたきが嵐を起こす 「兵士たちの消えない悪夢」を視聴したので語り継ぐ戦争の立場から書いておく。
「兵士の心の傷が初めて注目されたのは第一次世界大戦、塹壕で砲弾の恐怖に放り込まれた兵士はシェルショックと呼ばれる神経症を患った。だが、国家は臆病者とみなし、電気ショックなどの対処療法で戦場に送り返した。ベトナム戦争では、女性や子どもまで巻き添えにする戦いの中で兵士の心の闇はさらに広がる。南ベトナムで村人25人を殺害した19歳のアメリカ兵は30年後自ら命を絶った。戦火の消えない世界で悪夢は続いている。」と㏋にある。
語り継ぐ戦争であるから戦後80年になるアジア太平洋戦争のことを主に書いてきたが、父親が戦地から無事に帰ってきてくれたおかげで現在がある団塊の世代の一員であることから、朝鮮戦争、ベトナム戦争のことも時には書いている。
学生時代米軍基地で働いていた時、軍人や軍属の連れ合いに朝鮮半島出身女性が少なからずいたことから、朝鮮戦争に関心を持った。
ベトナム戦争はこれも米軍基地で働いていたことで、ベトナム戦争で死んだ米兵の死体を洗うと1体1万円(当時)のカネがもらえるなどという噂がまことしやかに流れていたこと。『プラトーン』、『地獄の黙示録』、『ディア・ハンター』などの映画を観た影響もある。
ベトナム帰りだったのか、知り合ったイリノイ州ペンシルバニアのピーター・ロバーツ・ボンドさんと文通をしたこともあったが、残念ながら、語学力がなくて続かなかった。
というようなわけで、戦争のことを書いてきた。
兵站がやられたり、インパール作戦のような兵站を無視したアホな作戦で兵士が飢餓に苦しみ斃れたことは書いてきたが、戦場における恐怖から精神がおかしくなり、米兵が大麻や覚せい剤に手を出すことはベトナム戦争では知っていたが、アジア太平洋戦争では詳しいことは知らなかった。
2022年9月、尿路感染症が悪化し、腎盂腎炎で入院した時のこと、39度の熱が下がらず、初めて悪寒というのを経験した。
熱で体がガタガタ震え、それが止まらなくなるのだ。
思えば、自分の意志で止められない震えこそ、兵士の恐怖心で精神を病んだときの震えと重なるのである。
自分も戦場に送られれば、小心者だから砲弾や銃弾の恐怖で精神が壊れてしまい臆病者と罵られる可能性が高い。
戦争を企図し、兵士に命令する側にとっては、自分のような臆病者は見せしめのために殺してしまえとなるかもしれない。
しかし、意気地なし、臆病者と罵られても、自分は人を殺しても平気でいられる人間にはなりたくない。
ベトナム戦争で、女性が何かを抱えて逃げ出したとき、撃ってしまった元兵士だった男性が、抱えていたのは子どもで二人を殺してしまったことを悔やんでいる様子をみた。
悪夢を見るという男性。
戦場における砲弾、銃弾の恐怖というものをつくづく教えられた放送だった。