正月二日は若い頃から箱根駅伝の追っかけ応援をしていたが、コロナ禍と加齢で行かれなくなってしまった。
何しろ50回大会から2019年の95回大会まで45年続いていたのだから、よく続いたものである。
さて、NHKドキュメント72時間の2024年放送のセレクトからベストテンの3位以下から、昨日、「命」について書いたので、書いていなかったベストテン1位について書いておきたい。
順位などどうでもいいことだが、視聴者としての自分の心を激しく揺さぶられたことは確かである。
4号国道は福島の二本松にある眠らないドライブインを舞台に、ここに集う人々の人生模様が伝えられた。
駅伝大好きだった自分が子どもの頃から応援してきた青森、東京間、通称青東駅伝のコースだったのが4号国道である。
「顔を写さないで」という訳ありの女性が二人。
若い頃、子どもと二人で食べに来た時、カネがなくて一人分だけしか注文できず、店の女将の気配りで二人分の器を用意してくれたこと。ごはんはお替り自由だったことに救われた。今は娘と来て、二人分の注文ができるようになったので、これからもあのときの感謝の気持ちを忘れずに店に通いたいという。
もう一人、猫の写真をスマホで見せてくれた青年。
ペットショップの店員をしているが、将来、自分の店を持つ夢があるのだという。
小学校1年の時、「大きくなったら会おうね」と別れた母親とまだ一度も会えない。「経営者になって、少しでも名が知られるようになれば、母親と会えるかもしれない」というのだ。
連れ合いと子ども3人で来ていた男性は父親がトラック運転手で、子どもの頃、店に連れてきてもらったことを懐かしみ、自身もトラック運転手になり、親になって子どもを連れて店を訪れたとのこと。
父親がトラックの運転席で亡くなったことも明かし、家族のために頑張ってくれた父親への感謝の気持ちを抱いていることが伝わってきた。
ドライブインに集う人々の人生を垣間見るような72時間。
印象に残ったのは、シングルで娘を育てた女性の窮状と店の女将の気配り。女性の女将に対する感謝の気持ち。
小学校1年生で母親に捨てられた息子が、社会人になって母親に会いたいとペットの猫に癒されながらも、ペットショップの店員から経営者になる夢を語る光景。
トラックドライバーだった父親が連れてきてくれた店に、家族を連れてきたトラックドライバー。運転席で亡くなったという父親に育ててくれた感謝の気持ちを語りながらも、自身も家族のために懸命に頑張る姿をみせてくれる。
共通にあるのは「家族」ということになる。
シングルで娘を育てる女性、店では一人分しか注文することができず、取り皿が欲しい時、女将が察してくれて何も言わずに渡してくれるのだ。店ではごはんのお替りが自由というサービスもしてくれていた。
娘を育て、今は二人でやってきて、二人分注文できるようになったが、あの時の女将の思いやりを忘れずに感謝している姿に顔出しはできなくともエールをおくりたくなった。
小学校1年生で母親に捨てられた青年が、ただ母親に会いたいと、少しでも自分の名前が世間に知られるようになれば、母親に会えるかもしれないと店員から経営者になりたいという夢が実現するように応援したくなるではないか。
トラックドライバーが店に家族でやってきて、トラックドライバーとして家族のために頑張ってくれた父親が運転席で亡くなったことを明かすのだ。
家族のために頑張ってくれた父親をお手本に自分も家族のために頑張っている姿を伝えてくれた。
ドライブインは80代の母親と二人の娘という家族で営んでいた。
建物も古くなったので、閉業も考えなくはないけれどという母親。
2025年は昭和100年、語り継ぐ戦争ではあれから80年ということになる。
昭和は遠くなり、家族の形もどんどん変わっていく。
それでも、人の気持ちはそれほど変わるものではない。
箱根駅伝をラジオで聴きながら、家族について考えをめぐらした。