2024年11月27日

父を亡くし、医者になって、「生」の時間が長くなるように

 はたらく人を応援する 第11回 こども作文コンクール「ありがとう」感謝の心を、未来へつなぐ。の表彰式が11月9日に都内で開催された。その受賞者作品が11月23日の勤労感謝の日の読売に掲載されている。

 小学5〜6年生の部で大賞を受賞した湘南白百合学園小学校6年米田彩夏さんの「私の夢について」を読んで心を揺さぶられたので書いておく。

 医者になりたい。というのが夢だと言う米田さん。4歳の頃に父親を亡くしたが、その頃は「死」がどういうことかわからなかった。
 目を閉じたままいつまでも起きてこない父。母や祖父母、親戚たちが涙を流す姿に、何か良くないことが起きているとは思った。
 新盆のとき、「今日は,お父さんが天国から帰って来る日だよ」という母親。次々と集まる親戚に期待がふくらんだ。
 いつまで待っても帰って来ない父。家中のドアを開けて確かめてもどこにも父がいない。
 母に怒りをぶつけて泣きじゃくった。翌日、父の動画を見せてもらい、ずっと見続け、ようやく「死」がどういうことか理解できた。
 母は自分より悲しいかもしれない。祖父母もつらいかもしれない。父はもっと生きたかっただろうと思って。
 病気や事故、戦争などで大切な人を亡くした人が世界中にたくさんいるだろう。生と死はつながっているからこそ、いつか来る「死」の前に「生」の時間を長く過ごせる人が一人でも多くなるように医者になりたい。
 父を亡くした悲しいことと引き換えだけど、やりたいことを見つけた。夢に向かって歩いて行きたい。
 以上が要旨である。


 赤穂市民病院で明らかな医療ミスで元気だった女性が自分の意志で体が自由にならなくなってしまったことをNHKのクローズアップ現代で知った。
 わずか8か月でわかっているだけでも8件。医師の資格があるのか疑問だが、医者になってはいけない人が医者になる、手術をしてはいけない医師が手術をした結果である。
 
 大事な大事な父親を亡くした引き換えに医者になりたいと夢を語る米田さんにエールをおくりたくなった。
 長く生きてきた自分よりよほど優秀な米田さんだからきっと夢を叶えて医者になり、人助けをしてくれることだろうと期待している。

 世の中で医師という職業に就く人には、立派な人が少なくない。
 黄熱病の研究で志半ばで亡くなった野口英世。自身も被爆しながらも被爆者の診察をされた永井隆。胎児性水俣病を見出した原田正純、アフガンで医師でありながら灌漑用水を敷設した中村哲。(敬称略)
 とりあえず、思いつくままに少しだけ名前を挙げたが、ほかにも国境なき医師団のようにたくさんの医師がいる。
 志の高い人が医師になってもらえると有り難い。