米軍と海上自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)の周辺8市の住民約8700人が国に対し、騒音被害の損害賠償などを求めた「第5次厚木基地騒音訴訟」で、横浜地裁(岡田伸太裁判長)は20日、騒音の違法性を認め、国に計約59億円の賠償を命じた。自衛隊機と米軍機の飛行差し止めについては認めなかった。とメディアが伝えている。
11月21日の読売によれば、厚木基地を巡っては、騒音の大きな原因となっていた米軍の空母艦載機が2018年に岩国基地(山口県)への移駐を終えており、訴訟では以降の被害をどう評価するかが争点となった。
判決は、航空機の騒音量を評価する国際基準「WECPNL値」(W値=うるささ指数)75以上の地域について、「社会生活上、受け入れられる限度を超えた被害が生じている」と判断し、指数に応じて賠償額を1人月額5000円〜2万5000円と設定。4次訴訟の同4000円〜2万円より増額した。
岡田裁判長は移駐前分の賠償は原告全員に認めたが、移駐後の騒音被害は軽減し、W値75以上の区域に住む原告は4割に減少したと指摘。それ以外の住民には賠償を認めなかった。
大和市に住んでいたことがある親族に教えてもらったことを書いておく。
語り継ぐ戦争でみれば、1945年8月30日、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥が厚木基地に降り立ってから79年ということになるあの厚木基地の航空騒音問題である。
厚木基地は神奈川県綾瀬市と大和市にあり、面積の4分の3が綾瀬市で4分の1が大和市ということで、基地があることの迷惑料(正式名称は調べていない)は、面積に応じて綾瀬市が多いのだが、滑走路が大和市側にあることから、騒音は大和市の方が迷惑しているにもかかわらず、迷惑料が少ない大和市の住民の一部は納得せず、怒っているとのこと。
首都圏の田舎町で、畑で作業中米軍の戦闘機が我が物顔で爆音をまき散らし2機で並走するかのように飛行していた。遥か彼方の空でも爆音が五月蠅く、怒り狂った自分は「米軍機を撃墜せよ。ミサイル発射」と叫ぶのが常であった。
語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で米軍の空襲・空爆で殺された人たちの声の代わりに叫んだつもりである。
ところが、2018年に米軍の艦載機が米軍岩国基地に移ると発表された。半信半疑でいたところ、事実だったようで、その後、静かな田舎町らしい環境が戻ったのである。
東京の空の管制を制しているのが米空軍横田基地だというのはよく知られていることだが、どうして、米軍基地は主力が首都圏に集まっているのか。日本を守るためなら米軍基地はすべて日本海側になければおかしいと考えている。
横田に空軍、厚木と横須賀に海軍、座間に陸軍司令部、岩国や三沢だって太平洋側だから米軍の都合で米軍基地が設置されていることがわかる。
戦闘機の爆音のすさまじさは話し声など全く通らないし、想像を絶するほどだ。
だから、迷惑している人たちが賠償を求める気持ちは大いに理解できる。
カネで済む問題ではないが、戦争に敗れ、事実上、米国に逆らえない、逆らおうとしない自民党政権は歴代、日米地位協定の不平等を改めようとすらしてこなかった。
基地で迷惑しているのは沖縄の人々が一番であるが、迷惑している人は声に出して訴え、賠償でも慰謝料でもいいからもらうべきだ。