フリーランス・事業者間取引適正化等法が2024年11月1日施行された。
フリーランスを保護する新法の施行を前に、公正取委員会の職員制作の動画がつくられたことを10月26日の読売が夕刊で伝えていた。
フリーランス・事業者間取引適正化等法が禁じる「買いたたき」を説明する動画はフリーランスという弱い立場の人たちの味方である。
取引先から一方的に低い報酬を定められ悲嘆に暮れる女性を演じ、脚本や構成を担当したのはフリーランス取引適正化室の佐藤香純さん(36)だ。
買いたたきといえば、フリーランスの雑誌ライターらを書いたたいたことで出版大手「KADOKAWA」と子会社の下請法違反(買いたたき)を公正取引委員会が認定し、再発防止を求める勧告を出す方針を固めたことを11月8日の読売が伝えている。
国がフリーランスの保護を進める中で、立場の強い発注者による不当な圧力に対する厳格な姿勢を示す狙いがある。
新法施行前のことだから、下請法違反を適用する。
フリーランス新法が禁じる「7つの禁止行為」
@受領拒否A報酬の減額B返品C買いたたきD購入・利用規制E不当な経済上の利益の提供要請F不当な給付内容の変更・やり直し
今、あちこちでハラスメントが大きな社会問題となっている。
パワハラ、セクハラを筆頭に力の強い者が弱い者いじめをする構図である。
このパワハラなどを雇用関係に重ねてみるとフリーランスの買いたたきの問題がみえてくるのではないか。
日本の雇用関係が明らかに崩れ出したのは、派遣労働制度が導入され、労働者の非正規雇用化が進められてからだ。
雇用関係で、労働者側にとっての命綱ともいうべき、社会保険、厚生年金の有無が労働者の人生を変えてしまう。
企業、経営者側は、その社会保険、厚生年金の負担を免れるため、労働者を独立させ、雇用関係を契約関係にしてしまえば、社会保険、厚生年金の負担をせずにすむからだ。
フリーランスといえば、著名人が今や一番恐れる文春砲の砲手を務めているのがフリーランスの人々である。
文春砲には限らないが、国民民主党の代表の不倫スキャンダルを伝えたのも雑誌で、フリーランスの仕事だったはず。
仕事がないフリーランスの人たちは食べるためには、探偵のようなことまでやってしまうのだ。
収入の低いフリーランスの立場から見れば、税金と献金で生活しているような政治家が好き勝手なことをしているのは許せないにちがいない。
日本の労働市場では建築関係などで、大手の元請けと下請け、さらにそのまた下請けという関係が出来上がっていて、簡単にはこの構図を崩すことはできないようになってしまっている。
フリーランスといえば、社会保険がないため、国民健康保険(国保)、厚生年金がないため、国民年金に加入しなければならず、決められた金額を納めなければ病気しても医者に診てもらうことさえできない。
国民年金では老後、受け取る年金が少なくて、生活保護以下ということだってよくある話である。
現在、どこかの企業、会社に所属している人は恵まれているが、フリーランスはそれほど厳しい人生を選択している、させられているのだから、買いたたきなど絶対許されない。
企業経営者は、自分の娘や息子がフリーランス、あるいは非正規雇用だったらと考えることなど全くないかもしれない。
しかし、権力を持った側にいる人は、弱い立場の人間に目配りすることも人としての価値を問わることになる。