首都圏などで相次ぐSNSの「闇バイト」を実行役にした強盗事件を巡り、警察庁は8日、闇バイトに応募した人に保護を呼びかける動画を同庁が公開した先月中旬以降、今月7日までの約3週間で、応募者やその家族を保護したケースが全国で46件に上ったと発表した。と11月8日の読売が伝えている。
事件の多発を受け、同庁は先月18日以降、阿波拓洋・生活安全企画課長が2度にわたり、闇バイト募集の手口などを解説した動画を公開。脅迫を受けて闇バイトに加担しようとしている人たちに対し、「確実に保護する」「今すぐ引き返して」などと呼びかけた。
警察庁は全国の警察に対し、相談者らを避難させたり、関係先のパトロールを強化したりするよう指示している。同庁の担当者は、「脅されても勇気を出して相談してほしい」と語った。
動画は、警察庁の 公式ユーチューブチャンネル で視聴できる。
11月9日の読売(後藤陵平、小松大樹記者)が夕刊で、「防犯『他人事でない』」「関連商品売り上げ3倍」「強化ガラス関心高まる」「『井戸端会議』有効」という見出しで、相次ぐ住宅強盗に対策を急ぐ市民の様子を伝えている。
団塊の世代の一員で後期高齢者になってしまったから、長いこと生きてきた、否生かされてきたと自覚しているが、かくも体感治安が悪化した時代を知らない。
穏やかに暮らしている家族が住む住宅に、深夜、強盗が侵入し、家人を傷つけ、結果死に至らしめる。カネを奪う。自宅にカネがないと家族を拉致、監禁する。
荒っぽい手口は、池波正太郎『鬼平犯科帳』で描かれている盗賊でも「急ぎ働き」という凶悪犯罪そのものである。
一番のワルが指示役、実行役などを使い、自らは安全地帯にいて悪事をさせる構図は、一番のワルを捕まえ獄門に処する必要がある。
さて、実行役がSNSで集められ、応募した多くの若者が送ってしまった個人情報を基に脅迫され、凶悪犯罪に手を染めてしまうことから、警察庁は、応募してしまった者に対し、身の安全を保障し、引き返すことを呼びかける動画を作成したところ、わずか3週間で46件もの保護をすることになったというのだ。
大ヒットした『ゴッドファーザー』でもマフィアの内情を裁判で証言しようとする男性がマフィアの側が親族を裁判所に連れてきたことで、証言を断念してしまうシーンが印象に残っている。
本人ばかりか親族まで脅迫の対象とされてしまえば、引き返すには相当な勇気がいる。
そこで、警察が身の安全を保障してくれれば、引き返すことは可能だから、動画を作成した効果はあった。
強盗をやる前なら、人生どうにでもやり直せるが、強盗、しかも殺人、あるいは強盗致死ともなれば、理由はともかく、刑務所に長く収容されることになる。
後悔してもどうにもならない。
小説、映画、TVなどで描かれてきた脅迫、恐喝などの手口で、一度たりとも脅迫に屈したら、ずっと死ぬまで脅迫され続ける。
脅迫されたとき、死ぬ気になれば、断ることができる。
自分の手を汚さない人間の脅迫に対し、警察を頼った方が賢い。
ワルイ奴こそ、警察に捕まるのを嫌がるからだ。