脱炭素社会実現への道筋を考えるシンポジウム「読売カーボンニュートラルデイVOL.4」が9月27日、オンライン形式で開かれた。脱炭素の先端技術の導入・開発が進む中、GX(グリーントランスフォーメーション)の加速に向け、官民の関係者が活発な意見を交わした。と10月31日の読売が伝えている。
興味、関心があったのは、二酸化炭素(CO2)の「吸収と固定」という視点から、木造建築や森林活用について話し合った第3部だった。
林野庁の難波良多木材利用課長は「国内の森林資源は毎年6000万立方b増えている。使われているのはその半分。人工林は半分以上が樹齢50年を過ぎ、利用機を迎えている。
国は木造化の推進対象を公共建築物から(民間も含めた)建築物一般に広げる法改正を行った。豊富な森林資源を切って、使って、植えて、育てるという、サイクルを回すことが大事だ。」
三菱地所の森下喜隆関連事業推進部長は「新しい建材を開発し、木造木質化を進めている。強度、耐火規制をある程度クリアしながら商品化を進め、新たな空間や木造の価値を提供している。」
日建設計の大庭拓也建築士は「東京五輪の選手村に設けられたビレッジプラザでは、全国63自治体から借り受けた木材で建物を組み立て、大会後、各自治体に返して再利用してもらった。
設計の立場で、木の循環や地域と都市のつながりを取り込んでいきたい。」
建築家坂茂さんは、日本における木造建築をを巡る技術、法制両面での対応を強調。「設計図から的確に加工できる技術者が日本にはいない」という一方で『なんでも木で作れば環境にいい」というイメージは間違いだとも強調。現在、ウクライナ西部のリビウで来春の着工を目指し、木造の病院設計を進めている。
木を使うことが日本の森林資源を豊かにする。というのは林野庁の難波さんだが、語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で大阪に行くと、京都や奈良にも立ち寄るということで、古都の神社仏閣のほとんどが木造建築であることから、木造建築には大いに関心をもってきた。
新幹線の車窓から眺める東海道の沿線は森林が多く、豊かな資源を理解することが容易である。
木造の唯一の欠点は火災に弱いことで、この問題がクリアできれば、さらに、需要は伸びることはまちがいない。
目を転じて、自分の生まれ育った首都圏の田舎町では、父親の代まで熱心に農業に取り組んでいた農家が、親が病に倒れるや、あれほど熱心に頑張っていた農業に力が入らず、親が亡くなってからは、土地を一部手放したかして、自宅を新築し始めたのである。
さぞや、素晴らしい木造建築の家ができるかと密かに期待していたら、生憎木造住宅ではなく、失望してしまった。
まあ、自分の家をどんな建築資材を使おうが余計なお世話であるが、庭に樹木がたくさんあるにもかかわらず木造建築の良さがわからない人もいるということである。
日本の豊かな資源である森林は、木材として活用することで資源として役立つ。
何とか需要を増やし、できれば輸出するくらいになってもらいたい。
食料自給率を高めるために農業振興を訴えてきたが、CO2を吸収と固定という面で、木材として森林資源を活用することで林業振興につながるから、所謂一次産業にもっと力を入れていく必要がある。