少年院にいながら自習が基本の通信制高校に入学して学べるようにする取り組みが広がっている。法務省は今年度から、取り組みの対象を全国すべての少年院43か所に拡大。少年らに「学びの場」を提供して高校卒業につなげることで、少年院を出た後の再犯や再非行を防ぐ狙いがある。と10月30日の読売が伝えている。
非行少年らに学習の機会を与える必要性は大きい。法務省によると、2022年に少年院に入った1332人のうち、2割が中学卒業、4割が高校中退だった。
仕事や学びの場があることは、再犯や再非行を防ぐ上でカギになる。少年院を出た後の保護観察期間中に再び保護処分や刑事処分を受けた割合は、無職が30%だったのに対し、職を得ていた場合は14%、学生・生徒は12%にとどまった。
紙面では、東京八王子市にある多摩少年院で通信制高校で学ぶ若者に取材し、「退学したことを後悔した。自分で学んで、人生を変えたい」と、2024年4月から通信制高校に入学、卒業後は専門学校へと希望をふくらませる様子が伝えられている。
首都圏で凶悪な強盗、殺人、拉致監禁事件が連続して発生して治安が急速に悪化している。
いずれも、首謀者が自らは安全地帯にいて、SNSで実行役を集め、指示役に命令して凶悪犯罪を次々と犯させている。
SNSでの実行役の募集に応じた若者たちは、身上書を渡してしまい、これを脅しの道具にされ、犯行を断れなかったと捕まった実行犯が話している由。
鬼平犯科帳の火付け盗賊改め方の長官長谷川平蔵によれば、急ぎ働きということで犯行の悪質さ、市民を恐怖に陥れた罪として、首謀者はもとより実行犯も含めて獄門ということにしなければならないが、生憎、罪刑法定主義で、刑法の規定では首謀者や指示役は死刑に処せても、実行犯まで全て死刑にすることは難しい。
ということで、この種の犯罪を根絶やしにするのは難しいが、警察は一番のワル、首謀者を逮捕できなければ、犯罪は繰り返される。
実行犯にさせられてしまう人間の愚かさについて、書いておきたい。
SNSでの募集で、ホワイト案件、高額のバイト、短時間で稼げるなどと勧誘する手口に騙されるのは愚か者である。というのも、上手い話があった例がないだけでなく、あるはずがないからだ。
大概の者は、生活が苦しかったから一攫千金ではないが、危ない橋を渡るかもしれないと思いつつ、ワルの誘いに乗ってしまったのだろう。
しかし、強殺をやれば、まず、人生が終わりで、やり直しはできないくらいのことがわからなくてはどうにもならない。
振り込め詐欺と強殺では刑罰が雲泥の差であることくらいわかるはずだ。
犯罪者に少年も青年もあるわけはないが、少年法があるくらいだから、道を踏み外した少年のうち、本人に立ち直る意思があれば、社会が応援してやらなければならない。
ために、通信制高校に行き、専門学校に行きということで、安定した職業に就けるようになれば、立ち直りの近道であることは言を俟たない。