2024年11月03日

皿洗いや食器で節水技術追求 高野雅彰さん

 様々な分野で頑張っている人物を紹介する読売の「顔 Sunday」の10月27日は、「水不足解決はキッチンから」という見出しで、皿洗いや食器で節水技術を追求している高野雅彰さん(46)が取り上げられている。

 「水不足から生じるあらゆる社会問題を節水技術で解決していきたい」と水問題に着目。
 空気を含ませ粒状にした水をマシンガンの弾のように噴出させ、わずかな水で汚れを落とす。そんなノズルを開発し、2008年に起業した。
 最大9割の節水を実現し、洗浄力も向上させたこの製品は、大手レストランチェーンの8割が導入した。

 次いで、目指したのは、少しの水ですすぐだけで油汚れも落ちるような食器だ。
 表面にナノレベルの親水加工を施すことで、皿と汚れの間に水がするりと入り込み、汚れが流れる皿に仕上がった。5年の試行錯誤の末のことだった。
 予洗い程度の水で汚れを落とせる「メリオールデザイン」として23年に販売を始めた。

 今、挑むのは、中東サウジアラビアでの排水循環システムだ。
 台所の排水や食べ残しを液体肥料にし、農業や砂漠の緑化に再利用するためのシンクの開発に取り組む。

 
 2024年の元旦、能登半島地域に大地震が起きた。地震列島だから、どこに住んでいても大きな地震が起きる可能性がある島国日本。
 問題は地震が起きた後である。
 電気、ガス、水道に道路とライフラインに被害が出た後の復旧がどうなるかということになる。
 ライフラインというくらいだから、どれも生活に困ることだが、飲料水、トイレと何と言っても水道の復旧が急がれる。
 能登半島では肝心な水道の復旧が遅れているため、住民は大変な状況にある。
 とりあえず、飲料水は水道局や自衛隊が運んでくれるとして、道路が通行できなくなっているところには自動車トイレをもっていくことができない。
 飲料水は食器を洗うほど運ぶのは大変だから、なるたけ食器は使わないようにするだろう。
 災害時、高野さん考案のメリオールデザインの食器ならその機能を存分に発揮するはずだ。

 日本にある資源は森と水ということになるが、世界を見渡せば、深刻な水不足に悩む、国、地域は多い。
 中東サウジにおける排水循環システムの完成が待たれる所以である。

 高野さんに水で困っている人たちと共にエールをおくりたい。