NHKバタフライエフェクト 「ふたつの敗戦国」が放送されたが、全く知らなかったこととはいえ、語り継ぐ戦争の立場から、アジア太平洋戦争における満蒙開拓団の人々の姿と重なったので書いておく。
「大戦後、東欧には1500万のドイツ人がいた。ドイツ降伏はその運命を変えた。現地の人々のドイツ人への恨みは暴力となり、住み慣れた土地からは強制追放された。しかしドイツ本国に戻っても彼らの苦しみは終わらなかった。戦争責任を重く受け止める西ドイツでは、彼ら被害者の声はかき消され、東ドイツでは、そもそも語ることが許されなかった。シリーズ「ふたつの敗戦国」、前編はドイツ人の被害者としての側面をみつめる。」と㏋にある。
語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚であるが、アジア太平洋戦争における日本の加害者、被害者両面について知ったことは書いてきたが、ドイツのことまで関心を持っていなかったので、NHKのスタッフのお陰で、語り継ぐ戦争の立場から知識を深められた。
他国への侵略といえば、2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵略し、ウクライナの領土を奪い占拠している。
アジア太平洋戦争では、満州や朝鮮半島などに侵略した日本軍は傀儡政権の満州国を建国。満蒙開拓団などの移民を送り込んだ。
ところが、日中戦争にとどまらず、米国にまで戦争を仕掛けた日本は国力の差で次第に劣勢となったのを見計らったスターリンのソ連は1945年8月9日未明、その満洲や朝鮮半島などに侵攻し、満州在住の日本人に略奪、性的暴行を繰り返し、現地の中国人や朝鮮人も追随した。
逃げ遅れ、満州の曠野を逃げ惑う満蒙開拓団などの人々は、ソ連軍に追い詰められ、次々と集団自決を余儀なくされた。
ソ連軍は無抵抗の避難民を戦車で轢き殺したのだ。
ドイツも、ヒトラーに騙された人たちは、近隣諸国である東欧に1500万人もの多数の人々が移り住んでいたが、満州同様、ヒトラーが自殺し、ドイツが降伏すると立場が逆転し、チェコスロバキアやポーランドの人たちから復讐のように惨劇が繰り広げられたのだ。
敗戦後のベルリンではドイツ人女性は少女から老婆までソ連兵から性的暴行されたという証言もある。
チェコやポーランドでも当然、支配者と被支配者の立場が逆転すれば、女性や子どもたち弱者にそのつけがまわる。
さらに、ドイツは米国とソ連の力関係で西と東に分断されてしまい、ソ連が支配した東欧圏に属した東では、ドイツ人は何もしゃべることを許されなかった。
米国に解放された西は戦争責任を追及される立場だったから、自分たちの被害者としての痛みを訴えられなかった。
北海道の分断を企図したスターリンのソ連は、占守島の戦車11聯隊の人たちの毅然たる戦いに阻止された。
ソ連の北海道占拠を遅らせ、米軍が先に北海道を占拠したことで、何とか分断されずにすんだ。
戦争で勝利者は勝てば官軍で占領地で酷いことをするのが通例で、東欧圏でも同じだったかもしれない。
少なくとも、満州では、現地の人々の土地を奪い、現地人に恨みを買っていたことは事実である。
他国を侵略する戦争は絶対許されない。