埼玉県桶川市で1999年10月、大学生猪野詩織さん=当時(21)=がストーカー被害の末に殺害された事件から26日で25年となった。
ストーカー被害の撲滅に向けて講演を続ける父憲一さん(74)は「一日一日が過ぎ去っていくことに変わりはないが、詩織の思いは私が引き継いでいく」と語る。と10月26日のJIJI・COMが伝えている。
詩織さんは元交際相手の男らから半年以上にわたってストーカー行為を受け、自宅周辺には数百枚の中傷ビラが張られるなどした。名誉毀損(きそん)容疑で県警上尾署に告訴したものの、担当警察官は調書を「届け出」に改ざんした上、取り下げを要請。ほとんど放置されている間に、刺殺された。
母京子さん(74)は2000年に結成された「全国犯罪被害者の会(あすの会)」(解散)に参加。切実な訴えは犯罪被害者基本法の制定や、刑事裁判への被害者参加制度導入につながった。
22年に発足した「新あすの会」にも所属し、犯罪被害者の相談窓口となる「犯罪被害者庁」設立に向けて動いている。京子さんは「相談窓口ができると被害者も気持ち的に楽になる。犯罪被害者や遺族は、警察にとっての証拠品ではない」と語気を強める。
憲一さんは事件の約半年後からストーカー被害に関する講演を始め、これまでに40都道府県で約120回に上った。
7年ほど前からは警察学校などでも講演するように。12都府県警で自らの経験を語り、「最後のとりではあなたたち。被害者を出さないよう頑張ってくださいね」と語り掛けている。
10月31日、今朝のNHKのTVで憲一さんの京都府警での講演が紹介されていた。
偶々であるが、京子さんの講演を聴いたことがある。犯罪被害者支援を訴える立場から、この事件に関しては、上尾警察署の警察官の職務放棄ともいうべき警察官にあるまじき対応で、被害者が殺害されたと言っても過言ではない。
どういう経緯があったかわからないが、上尾警察署の警察官の対応を厳しく批判してきた憲一さんに講演を依頼してきた警察の関係者は自分たちの使命が何であるかわかっている。
警察官の使命は、何と言っても治安の維持、防犯である。
現在、自分は捕まらない、手を汚さないという本当の意味でのワルによる指示で動く実行犯による強盗殺人、拉致監禁事件が起きている。
実行犯はSNSで集めらられ、愚か者が犯罪に加担させられている事件が頻発し、首都圏の治安が悪化している。
ここで、重要なのは、警察官は市民の命を守らなければならないということ。
桶川事件に目を転ずれば、被害者を守る気持ちが担当警察官に全くなかったことが重要な問題であった。
警察官の職務、使命がわからない警察官が対応したことが抑々殺人事件を引き起こしたのではなかったか。
遺族ご夫妻が団塊の世代の一員である自分とほぼ同世代で大学生だった被害者が事件から25年経てば、孫も大きくなっていたかもしれない世代となっていたはずだ。
悪いのは加害者兄弟であることは間違いないが、警察官が親身になって相談に乗ってくれていれば、遺族の怒り、嘆きも違ったものになっていたのではなかったか。
国家権力の代行者である警察官は被害者遺族の話を聴き、犯罪被害者にもっと寄り添ってもらいたい。