派遣労働者が仕事中に死傷するケースが増えている。経験が浅く短期間で職場が変わる分、労災が起こりやすいとされ、派遣先で死傷した人は2023年初めて5000人を超えた。専門家は安全対策の強化が必要だと指摘している。と10月8日の読売(竹内駿平、中村俊平両記者)が伝えている。
厚生労働省によると、労災で死傷した派遣労働者(休業4日以上)は2023年、過去最多の6892人。このうち派遣先で死傷したのは5379人に上り、初めて5000人を超えた。2015年(3242人)の約1・6倍で、業種別では製造業が50%(2705人)を占めた。
厚労省が23年の労災による死傷者を分析したところ、経験年数が1年未満だったのは全労働者で全体の約2割に当たる2万7628人だった一方、派遣労働者は5割超の2991人だった。
労働者派遣法は、派遣元と派遣先に対し、派遣労働者の教育や訓練を行うよう義務づけている。厚労省は、労災事故が突出している製造業に関して、安全衛生管理のマニュアルを作成し、派遣元と派遣先がそれぞれ取り組むべき対策を示している。
派遣先での労災死傷者が5000人を超えたことについて、厚労省の担当者は「重く受け止めている」とし、「マニュアルの活用など周知啓発を強め、新たな対策も検討したい」と話している。
戦後の神戸港で船内荷役の労働者を集め、働く場を設けて収益を上げていた反社会的組織山口組。彼らが労働者を集める仕事をしていたのが手配師と呼ばれた人たちである。
手配師のうまみを知った人間が労働者派遣法を基に人材派遣会社を作り、裏社会の仕事だった手配師の仕事を表の仕事、しかも儲かる仕事にしていった。
パソナのお偉いさんで知られていたのが、小泉内閣で日本をどんどん格差社会をにしていった当事者である竹中平蔵さんで、格差社会に反対する立場のれいわ新選組の山本太郎代表から批判されてきた人だ。
派遣労働法は、労働三法に守られてきた労働者を雇い止めなど、簡単に首切りできるようにするための法律である。
しかも、身分が人材派遣会社にあることから、雇用する企業にとっても都合のいい労働者だったから、彼らが死傷しても企業にとってはどうってことはないのだ。
企業にとって正規社員が死傷したらそれこそ大変なことであるが、非正規雇用それも派遣労働者となれば、経営側の意識は、メディアで大騒ぎされるのは迷惑というくらいのものだろう。
派遣先での労災死傷者が5000人を超えたことに、労働者の非正規雇用化、派遣労働の導入に断固反対だった自分としては、起きるべく、起きたという認識である。
人件費のコストカットに血道を上げ、儲けは社内留保というバカな経営者ばかり目立つ日本では、失われた30年というくらい、景気が低迷したわけである。
労働者に十分な賃金が支払われ、そこから消費にカネが回れば、経済は良くなるというのが自分の考えである。
正規雇用者であろうが非正規雇用者であれ、労災を減らしていくのは当たり前のことである。
派遣労働者を守るための対策が急務である。