2024年10月14日

「恐怖政治が永遠に続くと思ったら大間違いだ」

 北朝鮮の在キューバ大使館で参事官を務め、2023年11月に韓国に亡命した 李日奎(リイルギュ) 氏(52)が2日、ソウルで読売新聞のインタビューに応じた。密輸出で生活費を稼ぐ北朝鮮外交官の苦しい生活を赤裸々に明かし、住民生活を犠牲にしながら核・ミサイル開発を進める 金正恩 朝鮮労働党総書記の独裁政権を厳しく批判した。と10月9日の読売(中川孝之記者)が伝えている。

 北朝鮮の住民がどれだけ大変な暮らしを送っているか。(この夏の)水害で住民は財産を失った。朝食後に昼食の心配をする住民が大多数だ。だが、金正恩は富を独り占めし、あらゆる贅沢を享受している。住民が飢えているのに、娘を(視察に)連れ回す。住民の困難を無視し、自分の家系だけを守ろうとする。その行動が醜い。

 金正恩独裁体制は必ず崩壊しなければならない。一日でも早く崩壊すれば、2500万人の北朝鮮住民は幸せに暮らせる。監視と統制、恐怖政治が永遠に続くと思ったら、それは大きな間違いだ。いつか終わりが来るだろうし、その日は近づいているような気がする。

 先端科学技術が凝縮された核兵器を私たちがつくった。少し我慢すれば技術の発展が民生にも影響し、暮らしがよくなるという希望も生まれた。

 だが、最初(2006年)の核実験から何年たっても、暮らしは悪化し続けるばかりだ。住民は「核は私たちのためではなく、金氏一族の家系を守るためのものだ」と気づいた。住民が望んでいるのは、核兵器や大陸間弾道ミサイルではなく一食分の食料だ。民心は金正恩に背を向けてしまった。

 内部から変化を起こすことができないのであれば、勇気を出して、離れることができるときに、その国(北朝鮮)を離れてください。一度きりの人生を人間らしく生きることを願っている。
 以上が要約である。


 毎日、書き続け、発信しているのは「自由のため」である。このことは折々書いてきたことだ。

 北朝鮮の元外交官リ・イルギュさんの脱北が成功したのは彼が外交官で、当時、任地キューバという国外にいたからこそ韓国に亡命できたという運の良さがあったことも否めない。
 
 江戸時代からわが国には吉原のような公娼制度の下に遊廓が設置され、貧しい農民の娘たちが身売りされ、搾取されながら、逃げ出せない籠の鳥のような人生を送り、労咳や性病、火災などで死ねば浄閑寺のような投げ込み寺に捨てられた。
 明治、大正、昭和とアジア太平洋戦争を経る中で、廓清運動も起きてはいたが、結局、売春防止法ができるまで彼女たちの不遇な生活は続く。
 
 人身売買に反対する立場から、廓清運動に目覚め、関係書籍を買い求め、読みながら学習を続けた。
 語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚では、遊女、女郎と呼ばれし女性たちの供養もしてきた。

 北朝鮮は国家であるが、自由を求めて出国すると殺されてしまうということで、女郎屋と少しも変わらないことに驚かされる。
 女郎屋では足抜きと称されていたが、逃げ出して捕まると、厳しく折檻され、挙句格下の遊廓に売り飛ばされてしまう。それでも、殺したりしないのが北朝鮮と大きく異なるところだ。
 女郎として稼げる限りは殺したりしないが、北朝鮮は見せしめのために公開処刑するのだ。

 自分が仮に北朝鮮に生まれてしまったら、出国できるチャンスは外交官になるしかない。
 外交官だから、当然、海外に行くことができるし、出国できれば、亡命のチャンスも生まれるというものだ。

 独裁国家であれば、戦前、戦中の日本やナチスのドイツがそうであったように自由がないことは同じでも、北朝鮮は出国できないところが他の独裁国家と大きく異なり、女郎屋と瓜二つなところだ。

 この世に神が存在するなら、北朝鮮の金一族の独裁体制がいつまでも続くはずがない。
 金一族の滅亡の日が一日も早く来ることを北朝鮮の市民のために祈りたい。
 北朝鮮に自由を!