「袴田さん再審無罪 評価は」というテーマで9月30日の読売が解説の紙面に「論点スペシャル」で3氏に聞いている。
元東京高裁部総括判事門野博さん、米ハワイ大学教授デイビッド・ジョンソンさん、元最高検次長検事伊藤鉄男さんが「証拠開示 ルール化必要」、「過ち認め 検証する姿勢」、「判決の当否 冷静に分析」とそれぞれの立場から論じられている。
大いに参考になったのが布川事件などの再審に関わった門野さんだった。
冤罪を防ぐうえで証拠開示は極めて重要だが、裁判官の意識が高いとはいえない。証拠は捜査機関だけでなく、容疑者や被告、ひいては国民のためにあることを再認識する必要がある。
冤罪事件が起きるたびに浮かんでは消える再審制度改正の議論を、今度こそ実現に向けて本格化させるべきだ。
再審での証拠開示のルール化が不可欠であることに加え、長期化の要因である検察官の不服申し立て禁止や、審理期間など手続きの明確化も必要だ。
裁判所においても職責を全うするために、最新心理のあり方について、現場の裁判官の意見をくみ上げ、運用の改善に生かしていくべきだろう。
「冤罪被害者の救済」を目的とした再審制度を絵に描いた餅にしてはならない。
「名張の毒ぶどう酒事件」で無実を訴え再審請求を繰り返していた奥西勝さんが、八王子の医療刑務所で亡くなった後、妹の岡美代子さんが遺志を引き継ぎ、再審請求をを続けている。
再審請求を支援する会のサポーターの一員だから、再審が認められるように願ってきた。
再審請求を認めない裁判所の裁判官は普段の仕事で忙しいから、再審請求は余計な仕事だと思っているのではないか。
まして、奥西勝さんは八王子の医療刑務所で亡くなっていることだし、自分の成績に役立つというわけでもないからだ。
再審請求を応援してきた立場だから、再審請求裁判にも関わった著名な裁判官だった門野博さんの名前は知っていたし、発言の内容は、袴田さんの再審無罪の判決を出した裁判官のことを評価している内容だったから、裁判官関係者にも良心的な人物はいたのだと嬉しくなってしまった。
冤罪が続くと、わが国の警察、検察そして裁判官を信用、信頼できなくなってしまう。
しかも、メンツというか自分たちの非を認めようとはしてこなかった。
人間がやることだから、当然、間違いはある。裁判では間違いがあっては困るが、仮に間違いがあったら、素直に認め、改めることが間違えることよりも重要である。
冤罪事件は、真犯人を跋扈させるばかりか、容疑者、被疑者の人生を棒に振らせることになる。
何としても、再審のルールを確立し、冤罪事件をなくすようにしなければならない。