1966(昭和41)年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は26日、無罪判決を言い渡した。地裁は証拠について「捜査機関による3件の捏造がある」と認めた。とメディアが伝えている。
静岡県一家4人殺害事件の再審判決で、袴田巌さん(88)に26日、無罪(求刑・死刑)が言い渡された。
1963(昭和38)年に狭山市で女子高校生(当時16歳)が殺害された「狭山事件」で無期懲役となり、現在は仮釈放中で再審請求をしている石川一雄さん(85)も、喜びをかみしめた。と9月27日の読売(宮川徹也記者)が伝えている。
石川さんは1審・浦和地裁で死刑判決を受け、控訴審で無期懲役が確定したが、今も無罪を訴え続けている。袴田さんとは東京拘置所で約6年間一緒に過ごし、「イワちゃん」「カズちゃん」と呼び合って互いを励ました仲だった。
再審請求といえば、無実を訴えながら、再審請求中に八王子の医療刑務所で亡くなった奥西勝さんの名張の毒ブドウ酒事件に関わりがある。
妹の岡さんが再審請求裁判を引き継いでいて、今も、再審請求中であるが、支援する会のサポーターになっているからだ。
袴田さんは再審請求が認められ、再審で無罪が言い渡され、検察が控訴しなければ無罪が確定する。
それにつけても、本人が無罪となったことさえわからない状態ではいくら何でも遅すぎる。
さらに、検察、国家権力が冤罪を認めなかったことで、真犯人を捕まえることができなかったことはもっと悔やまれる。
袴田事件の真犯人は不特定多数の人間の中で、じっと身を潜めているが、仮に名張事件で再審無罪となれば、狭い村内のことだけに、真犯人を探すことになるわけで、疑心暗鬼ということになってしまう。
冤罪事件と北朝鮮による拉致事件の二つの事件は、直接関係はないが、国家というものを考えさせられる。
無実の人間を死刑囚として、長期間拘束し、その人の持ち時間のほとんどを国家が奪ってしまう冤罪事件。
日本にいて、北朝鮮の工作員に拉致され、その人の持ち時間を不本意にも北朝鮮で暮らすことを強制されるか、不都合になれば殺害されてしまうかもしれない拉致被害者。
日本人だから、本来、国家に守ってもらえるはずが、守ってもらえるどころか、拘禁され、あるいは拉致されたまま、帰国の願いが叶わない。
親を選べず、当然、生家も、住む土地も、生きている時代さえも選べないし、生まれた国も選べないが、北朝鮮に生まれず、自分が日本で生まれ育ったことは佳かったと思う反面、その日本から拉致され、北朝鮮に連れていかれた拉致被害者たち。
無実の罪で死刑囚にされることとは比較にならないが、どこか変だと思わないか。
国家権力って、信用できないなというのが袴田事件の正直な感想である。