2024年09月18日

ごみ収集への関心を高めるため、作業員になる学者

 「顔 Sunday」というタイトルで様々な分野で活躍する人物にスポットを当てる読売の連載。その9月15日は「ごみ収集への関心を高めたい」と清掃行政を体当たりで調査研究する行政学者藤井誠一郎さん(54)が紹介されている。
 ごみ袋を出せば、収集車が持ち去ってくれる。当たり前に運営される公共サービスの舞台裏を知るため、一作業員となって各地に出向いている。

 大東文化大学で専任講師をしていた2016年夏、東京新宿区で収集作業を体験以来、全国8市区で収集作業を体験。
 行政改革で清掃作業員は各地で削減され、そのしわ寄せはごみの分別作業にも及ぶ。
 不燃ごみは、瓶や缶が混じるので、分ければ資源ということで選別をやる必要があるのだ。

 学生にも収集作業を体験させ「大量廃棄の生活スタイルをいつまで続けるのか」と著書や論文で訴える。
 「ごみ収集は生活を支える根幹なのに世間の関心は薄く。清掃職員の社会的地位は低い。市民一人ひとりが関心を持ち、限りある資源の循環社会を実現させるべきだ」と語る。


 自民党総裁選で若手43歳の世襲議員のバックに学術会議のメンバーの選任に同意せず、官僚の人事権を握って睨みを聞かせていた元首相がいると報道されている。
 政治家が学者にいちゃもんをつけるときは政治が批判を許さない民主主義の危機みたいな証拠だとみている。
 学者は自らの研究に関して、政治家に何か言われる筋合いのものではないから、学者の味方である自分は元首相には嫌悪感しかない。

 ということで、藤井誠一郎先生が率先して、ごみの収集現場で収集作業員の仕事を体験していると聞いて応援しないわけにはいかない。
 目指すのは資源循環型社会だというから、自分と目的地は一緒である。

 家庭から出る所謂生ごみを毎日、畑に埋めて堆肥化させているので、行政改革だと人減らしばかりしながら、生ごみの堆肥化すら全く取り組めていない地方自治体に対し、怒りすら覚える。

 生ごみは畑に埋めると、9月とはいいながら、相変わらずの暑さであるから、土中の微生物の活動が活発になっているのか、すぐに堆肥化というか土に還ってしまうのだ。

 問題は畑がある人など限られているので、やはり、自治体が堆肥化させることが必要で、堆肥化されたら、その堆肥の使い途など考えればどうにでもなる。

 先般観た映画『うんこと死体の復権』というネーミングが感心しないが、内容は佳い作品で、人間は火葬される前、例えば、自分の生まれ育った首都圏の田舎町では、昭和38年に母方の祖母が亡くなったときはまだ土葬が許されていたが、自分の父親が亡くなった昭和40年は土葬が禁じられていて、初めて火葬場で骨の箸渡しを体験した。
 土葬すると土中の微生物が死体を土に還してくれる、循環型社会が実感できる。
 排泄物も同じことで、土に還るのだ。

 生態系も含めて、循環型社会というのは江戸時代にすでにできていたが、衛生面などから、現在ではいろいろ制約はあるにしても、根本は生物は土に還るということだ。

 決められたごみ袋に入れて、ごみ収集日に出せば、収集職員、あるいは作業員がパッカー車で焼却場に運んでくれることになっている。

 学者の先生は、どちらかといえば、頭でっかちで、ごみ収集作業員のことなどわかっていなかったはず。

 なれど、自らごみの収集作業員を体験すれば、何としてもごみを減らさなければならないと決意が固まりそうだし、生ごみの堆肥化も取り組むべき課題だとわかるはずだ。
posted by 遥か at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境問題・公害問題