5月に起きた大津市保護司殺害事件では、保護観察中の男が逮捕された。保護司の高齢化やなり手不足が課題となる中、求められる対策を3氏に聞いた。と7月11日の読売(石浜友里・虎走亮介記者)が解説の紙面で「論点スペシャル」として取り上げている。
中央大学客員教授今福章二さんが法務省保護局長だったことや現在、保護司として活動している経験から「複数で面接、心理的負担減」、龍谷大学矯正・保護総合センター長浜井浩一さんが保護観察官や刑務官の経験から「事前調査 再犯リスク評価」、全国保護司連盟事務局長吉田研一郎さんが保護司としての活動の経験から「就労支援 安全につながる」とそれぞれの立場から対策について論じている。
大津市で起きた保護司殺害事件のときに書いているが、叔父が保護司をしていたからか、亡くなった後、その息子で自分の従弟が保護司を引き受けていることから他人事とは思えない。
語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援についても訴えてきたのは「自由のために」である。
戦争が一番先に市民の自由を奪うことで、次いで、犯罪においても、殺されたり、傷つけられたり、奪われたり、性的な暴行を受けたりと、被害者になってしまえば、人生がそこでストップしたり、立ち直ることができないほどのダメージを受けてしまうことになる。
対して、犯罪の加害者に目を向けると、生まれつきのワル、この世の中に存在することが悪、更生など絶対不可能という一握りの犯罪者を除けば、更生させることができれば、社会としても、犯罪を減らせることに通じる人がほとんどで、この更生に貢献しているのが保護司であろう。
3氏の中で、全国保護司連盟事務局長の吉田さんが大津の事件で亡くなった新庄博志と面識があったということから、ここでは吉田さんのコメントに注目してみた。
大津の事件の容疑者は、職場に馴染めず転々と仕事を変えていたとされる。
更生にあたって重要なのは就労支援だ。安定した職が再犯防止につながるのは確かだ。不満の矛先を他者に向けるような事態を防ぎ、安全対策にもなり得る。
ために、対象者の就労継続につなげられるように保護観察所とハローワークの連携を強める必要がある。
「民間企業や福祉、教育、医療機関などが連携して対象者の更生を支えるネットワークづくりに力を尽くした。新庄さん。その遺志に応えるためにも、就労支援を含め、社会全体で彼らをどう受け入れていくか改めて真剣に議論すべきだ」と吉田さんは願う。
「保護司はやりがいを心の支えに、善意でボランティアに力を尽くしている。こうした人たちを守るためにも安全対策は不可欠だ。」という吉田さんは、保護司と対象者との間に一定の信頼関係あるかどうかが重要だとも。
世の中で、立派だと敬意を表せるのはカネ儲けではなく、善意で他者のために尽くせることである。
保護司は立派な仕事である。