2024年06月09日

秋葉原殺傷事件から16年 元死刑囚の友人が保護司に

 東京・秋葉原の歩行者天国で2008年6月、17人が殺傷された事件は8日で発生から16年となった。

 22年7月、死刑が執行された元死刑囚(執行時39歳)の友人大友秀逸さん(47)が2023年秋、保護司になり、罪を犯した人の立ち直りを支えている。と6月7日の読売(尾藤泰平記者)が夕刊で伝えている。

 19年6月にx(旧ツイッタ―)を開設し、事件の遺族から「なんでもっと早く殺してくれなかったんだ」と泣き叫びながら訴えられ、強い処罰感情を感じた。「被害者を減らすために事件を未然に防ぐことができれば」と考え、昨年、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支援する保護司となった。

 同じ紙面で、大津市で5月、その保護司が観察対象の35歳に殺害され加害者が、殺害容疑で逮捕されたことを伝えている。
 1964年以来のことらしい。


 古希を過ぎてから、一日があっという間に過ぎ、後期高齢者を目前にするようになると一層拍車がかかり、時々、時間よ止まれ、止まってくれと言いたくなることがある。
 若いうちはそんなことはなかったような気がするが、お迎えが来るのが早くなるだけだから、覚悟はそれなりにしていても嬉しくはない。
 秋葉原の事件も早や16年経つ。

 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えて発信しているから、秋葉原無差別殺傷事件に関しても、加害者、被害者双方の立場から大いに関心がある。

 すでに死刑が執行された青年が事件当初、前科もなく、真面目に働いていたことを知り、道連れ殺人と呼ぶような自暴自棄による犯行に至るまでに、どこかで、誰かが相談相手というか孤立させないようにしてやることはできなかったかものかと考えさせられた。

 犯罪学を勉強すると、犯罪者と一括りにしても、様々で立ち直れる人間もいれば、もう生かしておいては社会が成立しないサイコパスのようなのもいる。

 東名高速であおり運転で夫婦を死なせた男などは、後者の典型だろうが、秋葉原の死刑囚は、そもそも家庭環境が原因しているし、警備会社、自動車工場と真面目に働いていたのだから、事件を防ぐことは可能だったと思えてならない。

 一方、被害者学を勉強すると、これだけ道連れ殺人が多発するようになると、歩道を歩くときも、スマホなどいじっていると事件事故に巻き込まれてしまうことを肝に命じるべきだ。

 加害者に寄り添う保護司のことは書いたばかりであるが、その保護司がよりによって観察対象の35歳に殺害されたというのだから、自分たちの味方を殺害してしまうこの加害者こそは、死刑にすべきであるし、塀の外には出してはならない。

 元死刑囚の友人だった男性が後悔と決意を語っていることに他人事とせず、受け止めていることは高く評価したい。

 「未来の事件 防ぐ砦に」「元死刑囚の友人 後悔と決意」と見出しで事件後、16年経ち、道連れ殺人のような理不尽というか、自暴自棄になった者の巻き添えになった被害者のことを考え、自ら保護司を志願し、事件を起こそうとしている、あるいは居場所がなくて、犯罪に走ってしまいそうな人の抑止力たらんとする高邁な精神にエールをおくりたくなった。

 暴発ともいえるような形で、自らの生を終わらせるだけでとどまれば問題はないが、他者が幸せそうに見えたと報道では伝えられたが、秋葉原にいる人間が幸せとは限らないことくらいわかりそうなものであるが、暴走してしまったことが残念でならない。