NHKスペシャル「せんせい!おかげで生きとられるわ 〜海辺の診療所 いのちの記録〜」を全部ではないが視聴することができたので書いておく。
「三重県・熊野灘に面した二木島町は、住民200人の7割が65歳以上と超高齢社会を先取りする町。お年寄りたちが頼りにするのが地区唯一の診療所の“せんせい”こと平谷一人医師、75歳。診療所の2階に妻と暮らして25年になる。にぎやかな診察室や、最期の時を支える往診など、いのちと向き合う日々を4年間に渡り記録。先生と町の人々との関係は、人がおだやかに“生”を全うするとはどういうことか、静かに語りかけてくる。」と番組の㏋にある。
平谷一人医師は75歳。所謂後期高齢者である。団塊の世代の一員である自分と同世代であるが、熊野灘に面した街の診療所熊野市立荒坂診療所で看護師2人、事務1人のスタッフで住民の診療にあたっている。
診療所の2階には、「意味性認知症」を患う連れ合いがいて、診療が終わると、料理ができなくなっている連れ合いの分と2人分の食事を用意し、洗濯をし、老々介護をするという大変な生活を送っている。
住民たちは貧しいからか、介護施設に入所する人は少ないようで、自宅で介護する人が多い。
時間がなくて、最後まで視聴することは叶わなかったが、不整脈が出て、入院することになった平谷医師は連れ合いを施設に入所させることにしたらしい。
介護の形を問われた平谷医師は家族もそれぞれだから、自宅、施設それぞれの家族の都合で対応すればいいのではないかと応えていた。
聞くところによれば、熊野市の出身で九州の大学で学び、九州の病院で勤務していたらしいが、診療所勤続25年だというから50歳のとき、乞われて戻ってきたということのようだ。
僻地の医師といえば、TVと映画の影響からか、すぐにドクターコトーを思い浮かべてしまう。
普通医師といえば、診療科目が明らかにされていて、内科とか外科などと表記されていることが一般的である。
ところが、ここの診療所では、高齢者がほとんどとはいうものの、患者は内科ばかりとは限らない。総合診療というのか、とりあえず診てもらえる。ドクターコトーは手術でもなんでもやってしまう所謂スーパーマンのような医師だった。
荒坂診療所では、手に負えない患者は当然、県内の病院にということになるのだろうが、ここの診療所は患者の多くが高齢者だから、介護と看取りという分野の医療が大事になってくる。
看取りといえば、在宅で或いは施設でということになろうが、いずれにせよ、後期高齢者ともなれば、他人事ではない。
死ぬときは一人とはいうものの、連れ合いには日頃から、死ぬときは二人だけで手を握って看取ってほしいとお願いしているが、「一緒には行かないから、先に行っててね!」とは連れ合いの言葉である。
延命治療など考えてもいないが、苦しくないようにしてもらいたいとは思っている。
医師って、有り難い存在だとつくづく思った。