2024年06月03日

臓器移植 相次ぐ断念 問題の背景と対策

 時の問題となっている事象について有識者が論じる読売の連載「論点スペシャル」、5月30日は「臓器移植 相次ぐ断念」をテーマにグリーンリボン推進協会理事長大久保通方さん、東京大学病院長田中栄さん、米テンプル大学教授重村周文さんに影本菜穂子記者が問題の背景と対策について聞いている。

 「待機患者に大きな不利益」、「受け入れるほど負担増す」、「米国の病院『最優先』浸透」というそれぞれの立場からの考えを見出しの内容で語っている。

 自身妹からの生体臓器移植を受けた大久保さんは、臓器移植手術を東京大学など3大学病院で、人員や病床などが不足し臓器の受け入れを断念する例が相次いでいることに危機感を抱き「国は早急に3大学以外の施設の実態も把握し、対策を示してほしい。ドナーの臓器を移植を待つ患者に公平に届ける仕組みを盤石にすることは移植医療の推進に欠かせない国民の信頼と理解にもつながる。」という。

 医療現場の声を訴えられる立場にある田中さんは移植手術を担う大学病院に収益を確保できる仕組みの検討が求められる。移植に携わる人材の教育拠点を設け、各地の医師や看護師らが専門技術を身につければ、地方の患者の負担も減る。臓器移植に生きる望みを託した患者に、必要な医療を提供していくことは病院の重要な使命だ。と訴える。

 米国で肺移植手術の経験を積んだ重村さんは、米国ではドナーから患者へと命をつなぐ移植医療の重要性が社会に浸透していることを米国で暮らして痛感したそうな。その上で、「国は、見送り問題の解決が、移植医療を発展させるチャンスになると受け止め、米国など移植先進国の対策も踏まえ、強いリーダーシップでこの危機を乗り切ってほしい。と願っているとのこと。


 語り継ぐ戦争だから、戦時中日本の軍人たち程若者の命を軽視した人はいないというのが自分の認識である。
 各種特攻作戦が一番わかりやすい例としてあげられる。
 飛行機に爆弾を搭載し、突撃する陸海軍の神風特攻隊、魚雷に人間が乗る人間魚雷「回天」、爆弾と共に突っ込む人間爆弾「桜花」、モーターボートのような船に爆弾を積んで突撃する「震洋」とよくも、こんな兵器を作り出したものだと呆れるほどの人命軽視が行われてきた。

 さらに、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求める裁判が行われているが、優生保護という名前でわかるとおり、差別思想の下に行われたことであるが、ハンセン病患者のドキュメンタリー映画『かづゑ的』では感染するからということで、子どもを持てなかったことが伝えられた。

 つまり、米国でドナーから患者へと命をつなぐ移植医療の重要性が社会に浸透していることと較べ、日本は根底に命を大事にする発想が低かった。
 戦時中の、「産めよ増やせよ」という戦闘要員を増やすというイスラムのISのようなことが戦時中の日本では軍人たちから命じられていた。

 命を粗末にする旧日本軍の考え方は、敗戦で日本からなくなったはずだが、一時期自殺者が年間3万人を超えていたことが続いたことで、さほど変わっていないな日本はと思わざるをえない。

 ドナーから患者へと命をつなぐ移植医療の重要性が米国では社会に浸透している由だが、日本だって、教育とメディアでの宣伝、洗脳でまねをすることは可能である。

 脳死者から提供された臓器の移植手術で、 救える命があるのだから、臓器移植がドナーの提供とは別な形で断念されることが相次ぐのは極めて残念なことだ。

 新自由主義社会では、ブラック企業を筆頭に働く人たちに対し、代わりはいくらでもいるという論理で元受け、あるいは強い立場の人間が跋扈している。

 生きているだけで価値があると言っているのはれいわ新選組代表の山本太郎代表である。
 かけがえのない命を大事にするということは実は一番大事なことではないか。