インターネット上の中傷防止や被害者支援を条例で定める自治体が増えつつある。
群馬県が2020年に全国で初めて施行後、少なくとも15自治体が制定し、相談支援体制を整備したほか、差別的な投稿の削除をSNS運営業者らに要請するとした所もある。
「被害者の心理的負担を軽減させるなどの効果が期待できる」とは専門家の言である。と5月14日の読売(柏原諒輔記者)が伝えている。
総務省の「違法・有害情報相談センター」によると、22年度の相談件数は5745件で、10年度の1337件から約4倍に増加。
20年にはプロレスラーの木村花さん(当時22歳)がネット中傷をきっかけに自殺するなど、問題は深刻化している。
一般財団法人「地方自治研究機構」によると、多くの自治体では、相談窓口の整備、住民のネットリテラシー向上への取り組みのほか、国や日本司法支援センター(法テラス)といった関係機関との連携強化を想定している。
大阪府と佐賀県では、差別や人権侵害にあたる投稿について、被害者に代わって府と県がSNS運営業者などに削除要請する条項を設けた。
プロレスラーの女性がネット中傷をきっかけに自殺する事件があったくらいだから、当事者にしてみれば、中傷されたらたいへんなできごとであろう。
新型コロナ禍のとき、自粛警察などという言葉が流行ったことがあるし、大嫌いな言葉として、自己責任なるものが独り歩きしているのも気分がよくない。
日本の社会は昔から神道一つとっても、寛容なもので、八百万の神や神道と仏教はどこの家でも一緒、神棚と仏壇という形で同居していたものである。
つまり、日本の社会は何事も寛容ということが大事にされてきた。
ところが、戦後、みんなで頑張って復興を成し遂げたが、米国型新自由主義に毒された自民党の政治家が派遣労働を多くの職種で認めてしまったため、労働者の非正規雇用化が進み、同時に格差社会があっという間に出来上がってしまった。
勝ち組なんて言う嫌な言葉が流行り、恵まれない階層は、誰かに不満をぶつけようと手ぐすねひいている。
そのことが、セクハラ、パワハラ、カスハラ、学校でのいじめとなり、ネットでは中傷が増えてしまった。
とにかく、他者を攻撃する人間が目に余るようになってしまったのである。
ネット中傷を身近な条例で対策するのは結構なことで、できれば被害者に代わってSNS運営業者などに削除要請することができるようにしてもらいたい。
罰則も厳しくするよりないのではないか。