月に一度の映画館行き、5月は2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻、侵略で多くの住民が殺戮され、街が占領されるまでの20日間の取材をまとめたドキュメンタリー映画『マリウポリの20日間』『20 DAYS IN MARIUPOL』を観てきた。
上映館が少なくて、やっと見つけたのはほとんど行くことはない東京は三多摩でも一番賑やかな街立川の映画館で、座席数が少ない分レッグスペースもゆったり、椅子がリクライニングということで上映前にコーヒーを飲んだときの気分はくつろげるものだった。
まもなく後期高齢者になってしまうということで、夜眠りが浅く、慢性的に睡眠不足で映画の最中に睡魔に襲われてしまうという情けなさであるが、この映画は、惨劇があまりにも酷くて、目を覆いたくなるロシアの戦争犯罪シーンの連続で全くそんなことにはならなかった。
AP通信のウクライナ人の記者が戦争の実態を撮り、伝えるためにロシアの侵攻侵略とほぼ時を同じくして、侵攻してくることが予測された港湾都市マリウポリに潜入し、ロシアの空爆、爆撃で滅茶苦茶に壊されていく街の様子、民間人は攻撃しないと騙して、住民のアパート、挙句に病院にまで攻撃し、妊婦を殺害し、広場でサッカーをしていた少年を殺害するというロシアの戦争犯罪を記録し、電気も通信も使えなくなる中、撮影した記録を送り続け、間もなく、ロシアによる占領が開始される時、軍の協力で街から脱出し、映像を世界に流すことに成功するのだ。
語り継ぐ戦争ではあるが、書いてきたのは主にアジア太平洋戦争のことで、敗戦後79年経って、過去を振り返ってのことになるが、侵攻侵略してきたロシア軍に徹底抗戦するウクライナの人たちの戦いとロシア軍の攻撃に耐える住民の姿は現在進行形であるから、怖ろしさは比較にならない。
21世紀のヒトラー+スターリンこと悪魔殺人鬼と名付けたプーチンの息の根を誰かが止めなければ、ウクライナの人々がどんどんロシア軍に殺されてしまう。
自民党やその補完勢力である保守派は、米軍に代わって自衛隊に戦争をさせようとする米国の進める策略に乗せられ、日本国憲法の縛りで戦争ができないようになっている日本を安保法制などで戦争できるようにし、今また、憲法を改めて、戦争できる国にしようとしているおバカたちばかりである。
日本は、家屋が木造だから、語り継ぐ戦争で、東京はじめ、都市が空襲空爆されたとき焦土と化してしまったように爆撃には全く耐えられないことをもう忘れている。
ウクライナは建物がコンクリートで地下室があり、爆弾攻撃から退避する場所があるが、ひとたび攻撃されれば、日本はひとたまりもない。
一見、頑丈そうに見えるコンクリートの建物、アパートなどが爆撃で壊されている様子を見て、ウクライナがどうしてこんなに頑張れるのか考えてしまった。
人々は誰も戦争は嫌だが、自分たちはウクライナ人で、ロシアに占領され、ロシア人の奴隷にされるのは真っ平ごめんだと自分たちの自由と尊厳を守るために戦っていることを支持するというのだ。
ロシアの前身スターリンのソ連は、語り継ぐ戦争で、敗戦後、日本人をシベリアに強制連行、収容所に抑留し強制労働させた。
歯舞、色丹、国後、択捉の4島も強奪されている。
そのロシアは歴然たる敵国であるから、敵の敵は味方ということでウクライナを助けるのは当然のことである。
ウクライナの避難民が日本にやってきたらウエルカムで迎えるのも当然のことだ。
ウクライナはクリミア半島をロシアに強奪されている点も日本と似ている。
ウクライナの領土が奪われたまま、停戦となれば、ロシアは再び他国を攻撃することになるだろう。
だから、ウクライナがロシア軍を撤退させるまで、国際社会はウクライナを支えてやる必要がある。
ウクライナの兵士、医師、看護師、消防士そしてジャーナリストなどみんなよく頑張ってくれている。エールをおくりたい。
戦争犯罪を記録したことも含め、報道の力が凝縮された優れた映画を観ることができた。
ロシアに戦争をやめさせるためにも、大勢の人たちにもっと観てほしい映画である。