2024年04月28日

犯罪遺族給付 1000万円超 国の賠償立て替え見送り

 犯罪被害者の遺族などに支払われている「犯罪被害者等給付金」について、警察庁は支給の最低額を大幅に引きあげる法律の施行令の改正案をまとめた。犯罪でなくなった人が子どもだった場合や、収入が少ない人だった場合でも、遺族が1000万円を超える給付金を原則、受け取れるようにするなど支援を拡充する内容で、ことし6月中の施行を目指している。とメディアが伝えている。

 4月25日のNHKによれば、殺人事件などの被害者の遺族や、犯罪によって重い障害が残った人などに支給される「犯罪被害者等給付金」は、事件が起きた時の被害者の年齢や収入などを基準にして支給額が決まっている。

 遺族への給付金の水準が、交通死亡事故で遺族に支払われる自賠責保険の平均水準を大幅に下回っている現状なども踏まえ、警察庁は支給額の引き上げについて検討を進め、このほど「犯罪被害者等給付金支給法」の施行令の改正案をまとめた。

 給額の算出に使う最低基礎額を、年齢などによらず最大で2倍まで引きあげ、犯罪でなくなった人の配偶者、両親、子どもにはさらに加算をする。

 被害者が子どもだった場合など、これまでの支給の最低額は320万円でしたが、新たな制度では1060万円にまで引きあげられる。

 警察庁はこの改正案について、26日から意見を公募した上で、ことし6月中の施行を目指すとしている。

 今回の見直し案を犯罪被害者遺族「新全国犯罪被害者の会(新あすの会)代表幹事の岡村勲弁護士は「制度はまだ不十分で、国の損害賠償立て替え、加害者から回収する仕組み、経済的保障のさらなる充実、「犯罪被害者庁」を設立する必要性を訴えている。と4月26日の読売が伝えている。


 自らの連れ合いを殺害された岡村勲弁護士は、「加害者は刑務所に入って衣食住が確保され。出所後も保護司がついて相談に乗るなど手厚い支援を受ける。とした上で、加害者に賠償を求めても支払われないケースが多い現状を踏まえ、国が損害賠償金を立て替え払いし、加害者から回収する仕組みがどうしても必要だと訴えている。
 桶川女子大生ストーカー殺人事件の遺族の講演を聴いたとき、被害者の遺族である母親が一番強く訴えていたことでもあるが、加害者本人は北海道の湖で自殺し、主犯格の加害者の兄は無期懲役で服役中である。
 兄弟の親には財産があるにもかかわらず、自らは被害者であるかの如く責任転嫁し、損害賠償の支払いに応じる気配すらないと憤っていたことでわかった事実である。

 裁判でいくら勝訴して損害賠償請求が認められても、加害者側がカネがないことが多く、あっても、上述の如くであるから、国が賠償金の立て替え払いをして、加害者から国家権力で取り立ててもらうよりないというのだ。

 さらに、「自分は被害者にはならないと思っているだろうが、そうではない。自分のこととして考えて頂きたい」と世論の後押しが必要だと訴えているそうな。

 まったくそのとおりだ。

 岡村弁護士だって、まさか自分の最愛の連れ合いを殺害されるなんて考えたこともなかったはずである。
 さらに言えば、弁護士として、遺族の気持ちが真剣に理解できたのは、自らが被害者遺族になってからだと反省の弁を述べている。
 ある日、自分の家族が突然殺害されるなんてことは誰も想像しないし、したくもないだろう。
 しかし、現実はある日、突然そんな怖ろしいことが我が身に降りかかってくるのだ。

 被害者遺族になったら、家族の生活は滅茶苦茶になってしまう。
 大黒柱が倒れたら、たちまち生活に困窮してしまい。

 他人事ではないのである。

 犯罪被害者支援を訴えてきた所以である。
 犯罪遺族給付を交通事故の自賠責の金額程度に引き上げることは長年の懸案だった。
 大いに支持する。