2024年04月27日

種子法廃止等に関する違憲確認訴訟一審判決誤り

 TPP交渉差止・違憲訴訟の会から会報「TPP新聞 守ろう!命と暮らしと未来」2024年3月Vol22が手許に届いている。
 TPP「環太平洋パートナーシップ協定」に反対するというのが会の設立趣旨だったが、思うようにはいかず、現在は食の問題から種子法を廃止したことについて、日本国憲法に違反しているとして、訴訟をしている。

 一審判決では「確かに憲法25条1項に言う『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』の実現に向けては、一定程度の衣食住の保障が必要とすることは否定できない」としながらも、種子法廃止による「食料への権利」の侵害については認めなかった。

 この判断は誤りだとして、大分大学経済学部准教授で労働法学者の小山敬晴さんが寄稿している。
 食料自給が危機的な状況での生存権の保障が問われている。食料・農業・農村基本法から見る種子法と「食料への権利」ということで、今の法制度ではお金の補償はあっても衣食住の現物を補償する仕組みがないことなどから考えると、肝心の食料自給率が低いことから、食料が手に入らなくなるかもしれない状況におかれている中で、生存権を考えるとき、貧困者の保護といった古典的生存権ではなく、人として絶対的保障されるべきだという「自然権的生存権」の解釈に則った司法の判断が必要だというものだ。
 この『自然権的生存権の考え方が明文化されたのが1948年の世界人権宣言および1966年の国際人権A規約における衣食住の権利(11条)で、日本は条約締約国であることからこれらの権利を保障する義務がある。

 「食料への権利」とは食料を手に入れられる状況が保障されていることであり、ために国は食料生産体制を整備する義務を負っている。
 食料の安定供給の確保がなぜ必要かといえば、日本国憲法が定める自然権的生存権を保障するためであり、種子法を廃止することは生存権を侵害しているのと同じだというもの。


 ずいぶん難しい話のように思われるが、食料自給率が低いと貧困層にまで食料が回らない。
 種子法が廃止される以前のように農家が自由に種子を使えるようにすることこそ、食料の安定供給に資することだということ。
 生存権から見て、食料の安定供給が極めて重要で、ために種子法で種子が保護されるべきだと解釈すればいいのではないか。

 労働法学者の小山敬晴さんが生存権に生活保護のようにお金で補償はあっても、衣食住、とりわけ、食料という現物を補償する仕組みがないことを指摘していることに自分の考えていることと近さを感じた。

 田舎から都会に出てきて、仕事があるうちはいいが、仕事にあぶれれば、アパートを出ていかなければならなくなり、路上生活が始まる。
 だから、農業に従事する人を増やすように書き続けてきたのは、農業なら自分の食い扶持くらい何とかなるからだ。

 食料自給という問題は極めて重要なことであり、食料の供給を担っている農家の存在も同じように重要である。
posted by 遥か at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) |