2024年04月12日

犯罪被害「相談せず」4割 泣き寝入り

 児童虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)などの犯罪被害者の約4割が、警察や家族など誰にも相談をしていない実態が警察庁の調査でわかった。政府は犯罪被害者への支援を強化しており、警察庁は有識者検討会を設けて、対策の見直しを議論している。と4月4日の読売が夕刊で伝えている。

 調査は、第4次犯罪被害者等基本計画(2021〜25年度)に基づき、被害者が置かれた状況把握のために行われ、インターネットを通じて20歳以上の当事者819人から回答を得た。

 警察庁によると、被害に遭った際に「相談しなかった」人は、児童虐待で84%、性被害で51%、DVで51%に上った。ストーカー行為や交通事故、財産被害などを含む全体では44%だった。

 一方、被害者の80%は犯罪被害者等給付金や自治体からの見舞金などを受けていなかった。加害者側と損害賠償に関する訴訟や交渉などを行っていない人が88%で、加害者から賠償を受けた人は3%だった。


 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援も訴えて発信してきた。
 運がよくて殺人、強盗、性暴力などの凶悪犯罪に巻き込まれることはなかったが、いつ、誰が、どこで犯罪の被害者にならないともかぎらない。
 犯罪の被害者支援を訴えるくらいだから、大学で学ぶ刑事政策、別名犯罪学、被害者学などを自分なりに勉強していることも相俟って防犯意識は極めて高い。

 小泉政権のとき、全国犯罪被害者の会(あすの会))の岡村勲弁護士などの要請で、現在、外務大臣として活躍されている上川陽子さんなどがまとめた犯罪被害者等基本法が成立してから、わが国ではメディアなどでも犯罪被害者に目が向くようになった。

 第4次犯罪被害者等基本計画に基づいて実施された調査だって、犯罪被害者等基本法ができたからこその賜物だと言っても過言ではない。

 ところが、犯罪被害者等基本法は無論のこと、犯罪被害者等給付金のことなど一般の市民はそんなことは知らない人がほとんどである。

 自らが犯罪の被害者、あるいは家族、友人などが犯罪に巻き込まれて初めて犯罪の被害者が他人事ではなくなるのだ。
 「自由のために」毎日書き続けている立場から、自由を抑圧する出来事として、わかりやすいからよく取り上げてきた性暴力犯罪を例にするなら、女性であれば、被害者ともなれば、まず、妊娠の心配をしなければならないし、自由を奪われ、人間としての尊厳を激しく傷つけられたことで精神的ダメージはそれこそ被害者が訴える「心の殺人」そのものである。
 性暴力の被害者には、医師やカウンセラーなどの心身・法的支援を一か所で提供するワンストップ支援センターができているが、センターの存在は自らが被害者になって知ることが少なくないのではないか。
 こういう支援センターがあることを始め、身近な支援センターのことを警察や行政がメディアを活用して被害者にアドバイスしてやる体制をつくることだ。
 児童虐待、DV、ストーカー等相談機関のことがよく知られているとはいいがたい。

 DVの場合、シェルターに逃げ込む必要が出てくるが、その存在は加害者に知られては困るため、明らかにはされていないだろう。

 とにかく、自分だけで抱え込まないで、警察、行政などに相談し、一緒に問題解決を図るくらいでなければ相談しようという気持ちにならないだろう。

 被害者が泣き寝入りせず、犯罪は犯罪として取り締まりを強化しなければ、社会は安定していかない。