2024年03月04日

「世界の勇気ある女性賞」に五ノ井里奈さん

 アメリカ国務省は1日、人権擁護や女性の地位向上などに貢献した人を表彰することしの「世界の勇気ある女性賞」を発表し、12人が選ばれ、日本からはみずからの性被害を訴え、自衛隊の改革にもつなげたとして、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが選ばれたとメディアが伝えている。

 3月2日のNHKによれば、アメリカ国務省は受賞理由について、「自衛隊での性被害を訴え、日本社会ではタブー視されている問題に光を当てた。彼女の勇気は被害を受けたことのある無数の人たちに、もはや沈黙の中で苦しむことなく、みずからの経験を名乗り出ることを後押しした」と評価している。

 3月2日の読売によれば、15年には妊娠や出産を理由にした職場の嫌がらせ「マタニティー・ハラスメント」(マタハラ)に悩む女性への支援活動を評価された小酒部さやかさんが受賞している。
 五ノ井さんの告発は社会に影響を与えたと各地で評価されており、これまで米誌タイムの「次世代の100人」や英BBCの「女性100人」にも選ばれた。


 五ノ井さんは2011年3月11日の東日本大震災で被災した人々を救援する自衛隊員の活躍を見て、自衛官になったと伝えられている。
 その憧れの職場である自衛隊で性被害に遭うとは信じられないことだったに違いない。
 しかし、五ノ井さんが凡人とは異なっていたのは性被害を泣き寝入りせず、後輩たちのためにもと勇気を振り絞って実名で告発したことである。

 セクハラなどは日常茶飯事として行われてきたであろう自衛隊のような組織では性被害を告発することは現実には上から圧力がかかり耐えられるものではないはずだ。
 自衛隊にいたわけではないにもかかわらず、セクハラが日常茶飯事として行われてきたであろうと断定できるのは若い男たちが性欲のはけ口に困っているはずだからだ。
 自衛隊に限らず、若い男たちの集団生活する場の近くにははけ口となるような施設が必要なことは語り継ぐ戦争だからよく理解しているつもりだ。
 アジア太平洋戦争で勝利した米軍は進駐軍の主力として日本にやってきてどれ程多数の女性に性暴力をしたことか。
 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻侵略でウクライナの女性がロシアの兵隊にどれほど性暴力を受けたことか。
 敗戦後の日本では、進駐軍のために国策でRAAという売春施設を作ったのは、米兵に日本女性が性暴力を受けることがわかっていたため、少しでも被害者を減らそうとする苦肉の策だった。
 梅毒の感染があまりにも多かったので、ペニシリンなどの治療薬があった米国から取り寄せても間に合わないくらい盛況だった。

 語り継ぐ戦争だから、1945年8月9日未明、っソ連軍が満州や朝鮮半島や樺太に侵攻侵略してきて、満蒙開拓団などの女性たちが滅茶苦茶に性暴力を受けたことは何回も書いている。

 男たちの性欲のはけ口を作らないから性暴力が起きることはわかりきったことではないか。

 語り継ぐ戦争ではあるが、自由主義者であるから、人身売買には絶対反対の立場である。しかし、自らの意志で生きるため、生活のために商売をするのは自由だから、その人たちに自衛隊の基地の近くで仕事をしてもらえばいいのである。性感染症には定期検査と治療が欠かせないことは言を俟たない。

 性暴力を無くすために提言を書いたが、五ノ井さんの勇気ある告発が性暴力に泣き寝入りしていた女性たちが告発するために背中を押したことは間違いない。

 一人の女性の勇気が閉鎖的な日本の社会を明らかに変えたことは政府から表彰されて当然だが、日本の自民党政権を支えている自民党には差別発言を繰り返す女性がいて、米国の国務省から表彰されるとのことで、やはり、性暴力に関しての告発も米国の方が進歩的であった。

 ホワイトハウスで表彰されるとも伝えられているので、メディアも大きく取り上げ、日本社会が変わりつつあることを発信してもらいたい。