2024年03月03日

DV被害 支援に工夫 刑事政策懸賞論文優秀賞

 「犯罪被害者等のための施策の充実に向けた新たな取り組みについて」をテーマに、日本刑事政策研究会が募集した懸賞論文(読売新聞社共催)の入選作品が決まった。優秀賞には成蹊大学法学部4年・松井凛奈さん(22)の「ふれあいを重視したDV被害者とその家族への新たな支援施策」が選ばれた。と1月30日の読売が伝えていた。 
 優秀賞の要旨が紹介されていたので、書いておく。

 家庭内暴力(DV)対策を強化する改正配偶者暴力防止・被害者保護法が2023年5月12日に成立したが、検挙件数は高止まり傾向のままとなっている。
 懸念すべきはDV家庭の子どもへの影響である。そこでふれあいを重視した解決策として、郵便や宅配の配達員にDVを発見するしてもらうことで早期発見につなげる。ために、発見するために注目すべき点を事前に学んでもらう。配偶者暴力相談支援センターのスタッフらがスーパーや商業施設などに出向いて相談窓口を設置。
 母親が被害者のケースでは、特に、施設で保護する段階で子どもと分離させない支援が重要だ。母親の社会復帰を手助けするほか、母子の絆を維持させる。退所後の自立を見据え、子ども食堂のような施設外の場所で社会と関わりを持てる制度も導入する。このような支援で被害者にも横のつながりができる。


 要約でわかったことは、社会としてDVを許さない。見過ごさないということで、早期発見と相談体制の充実ということになろうか。さらに、被害者の連帯というか、ネットワーク化で悩みを共有し、乗り越えていく一助とするのだ。

 犯罪被害者支援を訴えてきた立場であるから、「犯罪被害者等のための施策の充実に向けた新たな取り組みについて」というテーマは大いに関心がある。

 DVと虐待、ストーカーの対策は、有効的な対策が長いこととられてこなかったので、増加傾向が続いている。
 DVと暴力夫と暴力妻は簡単には切り離すことはできない。
 虐待を絡めると、子どもの頃、虐待を受けたものは、長じて虐待、DV、そしてストーカーと暴力で配偶者などを支配しようとする例が多いような気がしてならない。
 ということは、母親がDV被害を受けている現場に居合わせた子どもに悪い影響が及ばないわけがないということでもある。
 DVを減少させるためには、早期に発見することと同時に相談できる場所を増やし、DV現場から救い出すことが重要になってくる。
 DVの被害者が逃げ出せば、加害者のほとんどがストーカーとなって追いかけまわすということもよくあることだ。

 DVだけの解決ということは少なくて、虐待、ストーカーの問題と関連させて解決策を考えていく必要があるのではないか。

 法律を学ぶ若い人が住みよい社会を作るため、犯罪被害者等のための施策の充実を考えて、解決策を提起することは素晴らしいことだ。

 優秀賞だけでなく佳作に入選された人も共にエールをおくりたい。