22年6月に成立した改正刑法で、懲役刑と禁錮刑を一元化した拘禁刑が25年6月に導入されるのを見据え、法務省はコミュニケーションを重視した新たな刑務作業の試行を始めた。受刑者同士で話し合って製品を企画するなど、実社会での就業を見据えたより実践的な内容だ。出所後の円滑な社会復帰につなげる狙いがある。と2月26日の読売(石浜友理記者)が夕刊で伝えている。
法務省の有識者検討会は22年7月、導入を見据えて「刑務作業を通じて、コミュニケーション能力や課題解決能力といった社会人に求められる力の向上を図る」とする報告書をまとめていた。
拘禁刑とは、受刑者を刑事施設に拘置し更生のために必要な作業をさせたり、指導を行ったりする刑。受刑者の年齢や特性に合わせ、作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を行えるため、矯正プログラムに多くの時間を割いたり、高齢受刑者にリハビリを重点的に行ったりすることができる。導入に伴い、懲役と禁錮は廃止されるが、導入前に刑が確定した受刑者などには引き続き執行される。
出所後の就労継続は再犯防止に効果があるとされるが、同省の2018年の調査では、出所者を積極的に雇う「協力雇用主」の46%が元受刑者らの雇用期間を「半年以内」と回答。5年を超えて継続したケースは5・8%にとどまった。雇用主からは「人間関係が上手くいかず、早期に辞めてしまう人が多い」「指示待ちで自発的に動かない」などの声が寄せられている。
名古屋刑務所での刑務官による受刑者に対する人権意識の希薄さからの暴行事件が発覚。こうした事件に見られるように規律秩序重視で所内の規律が保たれてきた経緯があり、刑務官の意識改革も必要になってくる。
50代半ばを前に退職してからコロナ禍になる前まで、近くのスーパーに食料品や日用品などの買い物に一日おきくらいに車で行っていた。そのスーパーでは定期的に刑務所の受刑者が製造した木工品、タンスやテーブルなどを受刑者の更生のために役立てようと展示販売に協力していた。
犯罪被害者支援を訴え発信し、究極の支援は受刑者の更生であることに気づき、椅子や布製のバッグ、陶器などを更生を支援するために買い求めて使っている。
作品の出来栄えは見事なものであるが、タンスやテーブルはわが家にはあるから、需要と供給ということでみれば、買えるのは普段使えるようなものに自ずからなってしまうので、製品はもっと需要のあるものを製作して販売してもらった方がいいと思っていた。
過去、何回となく書いてきたのは、受刑者もいろいろで、性暴力を繰り返すような根っからのワルで更生など極めて難しい者がいる一方、前科もなく過ちで事件を起こし、更生しようとする意志がある者など様々である。
更生しようとする意志がある者には何としても就労先が欠かせない。
従来のモノづくりが悪かろうはずがないし、農業や林業などの一次産業の人手不足、建設業など職人の分野での人手不足を考えれば、まず、こういう分野で働けるようにすることが考えられる。何故なら、これらの仕事なら定年がないし、人間関係も一般の会社で働くよりは自然が相手であるから、仕事を辞めるほどではないはずだ。
職業には適性もあるだろうから、会社で働くことを考えるとコミュニケーション能力や課題解決能力が必要なことは理解できる。
保護司の制度もあるから、就業したら、悩みを聞いてやるためにこの制度を活用することも考えられる。
塀の中から出てもらっては困る者がいるのは事実だが、大半は更生の可能性がある人ばかりだから、出所したら、誰かサポートする人がいることで、就労も続けていくことができるのではないか。
製造業、一次産業をもっと有効に活用すべきである。