2025年11月14日

ガールズバーの店長らが監禁とGPSで管理売春させる

 警視庁は11月4日 、ガールズバーの女性従業員に大久保公園(新宿区)の路上などで売春させたとして、店長を務める容疑者(39)と従業員の容疑者(21)を労働基準法違反(強制労働)の疑いで再逮捕した。警視庁は10月15日に、2人を売春防止法違反(管理売春)の疑いですでに逮捕している。とメディアが伝えている。

 11月6日の集英社オンラインによれば、店長の容疑者と従業員の容疑者の2人は2024年10月から2025年の7月にかけて、20代の女性従業員に「お前の接客態度が悪いから稼げないんだ」「金遣いが荒いから管理してやる」などと言い、頭を殴るなどの暴行を加えて脅迫し、ガールズバーでの労働を強制した疑いがもたれている。被害に遭った20代女性は、抗拒不能な状態に陥っていたという。

 被害者女性が池袋のガールズバーで働き始めたのは、2024年9月のことだった。
 被害者は店内にある1畳ほどしかないバックヤードに寝泊まりさせられており、GPS装置で位置情報を監視されていた。

 警視庁保安課によると、被害女性は3カ月で400人と売春し、600万円ほど売り上げており、そのほとんどを2人に送金していたという。また、多い日は1日に13人と売春させられたこともあったと説明しているという。


 毎日、書いているのは「自由のため」である。
 自由を奪う、奪われることに一番関心があり、戦争、犯罪、公害病などに関して発信してきた。
 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えているのも、自由を奪われし者たちのためだ。
 犯罪でも、人身売買及び管理売春に伴う監禁、虐待などに関しては極めて敏感に反応する。

 さて、ガールズバーなんて存在そのものを知らなかったが、ガールズバーで働く女の口車に乗せられた貢いだ男性が貢がせた女性を殺害したという新宿事件で騙した女が悪いからで、殺されても仕方ないなとみていた。
 被害者と加害者の関係性が入り組んでいて、被害者も相当なワルよ。身から出た錆び打と同情心が全く起きなかった。
 他でも同様の事件が起きているが、新宿と同様の繁華街池袋での事件は酷すぎて加害者を厳罰にする必要があると声を大にして訴えたい。

 生活のために売春をすることを悪いなどと思うことは全くない。
 しかし、1956(昭和31)年に売春防止法ができたのは一にも二にも管理売春を禁止するためだ。
 法律の名前は防止なれど管理売春を禁止したからこそ、遊郭における女衒を通じた人身売買が明らかに減少したのである。
 売春は当該女性の自由意思によるもので、他者から強制されることは明らかな人身売買である。

 池袋のガールズバーにおける管理売春は暴力とGPSが使われており、今は廃止された廓における管理売春と何ら変わらない悪質さだ。

 廓に売られた女性は楼主から搾取され、逃げ出そうとすれば裸にされ、天井から吊るされてリンチされた。
 ガールズバーの店長たちがやったことは楼主がやったことと少しも変わらないどころか、もっともっと悪質だ。
 400人相手に稼いだ金を全部奪ったのだから、強盗と変わらない。

 ガールズバーとホストクラブには悪質な営業をする店が多すぎる。
 ホストクラブで借金漬けにさせられ、風俗に沈められた女性たちのことは新宿歌舞伎町の事件で捕まったスカウトグループの時に書いている。
 両者ともに、自分の手は汚さず、貢がせ、貢ぐという関係から、売春をさせたり、させられたり、あるいは恨みを買って事件を起こすことにつながっている。

 これらの職業に、警察はもっと厳しく取り締まる必要がある。
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2025年11月13日

旅順に「日露戦争史料収蔵館」を開設

 1993年に来日し、大阪市立大学(当時)で理学の博士号を取得。2008年に優れた科学者に贈られる科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞した郭方准さん(55)が「激戦の歴史、平和の願い 後世に」と、中国は旅順に「日露戦争史料収蔵館」を開設した。と11月9日の読売(出光翔太朗記者)が「顔 Sunday」というコラムで紹介している。
 「長年生活した日本が関わり、世界史に大きな影響を与えた日露戦争の資料を集め、後世に残したい」と思うようになったのが開設した理由だそうな。
 日露戦争の終結から、2025年で120年。将来的には各国の研究者が集う拠点になることを願っているという郭さん。「日露戦争がアジアと世界に与えた影響を考え、平和を議論する場所となれば本望」だと語っている。


 語り継ぐ戦争では、アジア太平洋戦争をメインに発信してきたが、日露戦争はアジア太平洋戦争に大きな影響を及ぼしたので書いておく。
 アジア太平洋戦争での大きな関心事であるシベリア抑留は、ソ連の独裁者スターリンが日露戦争の復讐だと言っている事実からも日本人を酷い目に遭わせた意図が証明されている。

 日露戦争となると、団塊の世代の一員である自分としては遠い昔の出来事であったが、横須賀に戦艦三笠の記念館があり、若い頃、見学したことがあるので、日露戦争がやや身近になった。

 日本とロシア、ソ連との関係といえば、やはり、若い頃、五木寛之『さらばモスクワ愚連隊』(新潮文庫)を読んだこと、NHKで同じ作家の『朱鷺の墓』(新潮文庫)をドラマ化して放送したのを視聴したことを覚えているくらいである。
 日露戦争の頃、美貌の芸妓・染乃と捕虜として収容されたロシア貴族出身の青年将校イワーノフとの運命的な恋を金沢をシチュエーションに描いたもので、花街のことや芸妓、女郎と呼ばれた女性たちのことに関心を持っていた自分としては、大きな影響を受けている。

 司馬遼太郎『坂の上の雲』のあらすじは知っていたが、TVドラマ化されても視聴することはなかった。
 幕末の新選組の土方歳三と戊辰戦争での会津藩の戦いを応援してきたアンチ薩長の立場であるから、明治維新と帝国主義化に距離をおいていたからである。

 1939年5月からモンゴル国境をめぐり、日本軍とソ連軍が戦い、日本が敗北したノモンハン事件で日露戦争後、再び、両者は戦った。

 アジア太平洋戦争にソ連が参戦してきたのは1945年8月9日未明のことで、スターリンは不凍港を求めて、北海道の半分を強奪するつもりであったことがわかっている。

 後年、語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で、満州(現中国東北部)や朝鮮半島、樺太、千島列島などでのソ連兵の日本人女性への性暴力の酷さ、シベリア抑留で、抑留者の約1割は死亡というよりは殺害されたも同然のソ連、ロシアに憎悪を抱くようになり、2022年2月24日のロシアのウクライナ侵略とその前のクリミア強奪事件で嫌悪感をロシアに抱くようになってしまった。

 というわけで、ソ連のスターリンとロシアのプーチンが大嫌いではあるけれど、中国同様に隣国の大国だから、戦争にならないように、友好関係を築いていく必要があるだろう。

 旅順ではあるけれど、日露戦争を検証するためには大いに役立ちそうな史料の収蔵館を開設していただいた事を郭さんに感謝申し上げる。

2025年11月12日

外国人労働者を受け入れたのは財界と自民党

 11月11日のNHKクローズアップ現代で「増える外国人広がる不安」ということで、埼玉県川口市でクルド人問題が起きているように不安を抱く人々が増えていることを伝えていた。


 外国人排斥みたいなことをSNSでしきりに発信している人や、参議院議員選挙で外国人問題を選挙の争点にし、外国人受け入れに賛成しているかのような偽情報を流してライバル視されていたれいわ新選組を陥れた参政党が躍進したことなどについて書いておく。

 戦後の日本でそのほとんどの政権を担っていたのは自民党であり、連立政権を担ってきたのは公明党であり、補完勢力として維新が控えている。

 少子化が叫ばれて久しいが、労働者が労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の所謂労働三法に守られ、首切りが簡単にはできないようになっていたのを派遣労働を自民党政権に認めさせ、低賃金かつ簡単に首を切れるようにしたのは経団連などの財界である。
 財界は選挙では、札束で自民党を支援し、派遣労働を認めさせ、職種も拡大させ、労働者の非正規雇用化に成功する。
 労働者の多くが次第に非正規雇用化されると、不安定な労働と低賃金で結婚が難しくなり、頑張って結婚はしても子どもを持てず、少子化になることはわかりきっていた。
 財界の狙いは、労働者を低賃金で働かせることで、少子化になると外国人労働者を積極的に受け入れさせ、低賃金で働かせることに成功した。
 財界の目論見は見事に成功し、2025年の今、日本の社会は外国人労働者がいなければ動かないところまできてしまった。

 このことに対し、日本人ファーストなどとさも日本人のことを考えているかのようなおためごかし作戦で、外国人を攻撃しだしたのが参政党など所謂極右勢力である。
 労働者の派遣労働が導入されるときや、労働者の非正規雇用化が進められたとき、財界や自民党に抗議したり反対運動をしてこなかったにもかかわらず、外国人が増えてもうどうにもならなくなってから、当該外国人を攻撃しているのはおためごかしにすぎない。

 外国人労働者がこれほどまでに増えてしまった原因者である財界や自民党を批判しないで、当該外国人労働者を非難するのは間違っている。
 外国人労働者は低賃金で働くことを余儀なくされ、仕事がきつくて、所謂3K職場で日本人の労働者が集まらない建設現場とりわけ、解体現場、介護、農業などで頑張って働いてくれている。

 コンビニでも飲食店でも労働環境がよくないところで頑張ってくれているのは外国人労働者ではないか。
 れいわ新選組の山本太郎代表は農業、建設現場、介護などの仕事の重要性を指摘し、そこで働く労働者の賃金を上げ、外国人に任せなくとも仕事が回るようにしなければならないと発信している。

 学生運動、労働運動が連合赤軍のリンチ殺人を契機に勢いをなくし、国鉄民営化で国労、動労というスト権を行使する労働組合が解体され、派遣労働を認め、職種を拡大し、労働者を非正規雇用化したこと少子化になることはわかりきっていたことで、労働力が足りなくなれば、人手不足を補うために外国人を労働者として迎え入れることになることもわかりきったことではないか。
 その背景には企業経営者が人件費を抑制することで利益を出すという愚かなことしか考えられなかったからだ。
 労働者を低賃金で働かせ、簡単に首を切れば、経済が良くなるわけがない。

 外国人労働者がなぜ、これほどまでに増えたのか、少し考えればわかることではないか。
 外国人労働者が増えて、誰が喜んでいるのか考えた方がいい。
posted by 遥か at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 移民問題

2025年11月11日

森永ヒ素ミルク 中毒事件は終わっていない

 事件や事故などが起きるとメディア、新聞やTVが伝えてくれるが、その新聞は人のうわさも七十五日で、その後のことはあまり伝えてはくれない。
 週刊誌では、「あの人は今」というようなタイトルで事件後、人々に忘れられてしまった頃に特集をしたりすることもあるが、その新聞、読売(福元理央記者)が「あれから」というタイトルで世間をお騒がせしたことも含め、過去の出来事の主役にスポットを当て、その人の今を伝える興味深い記事を連載している。

 11月9日は、VOL.63保健師 14年後の追跡調査として、「ヒ素ミルク 終わっていない」という見出しで保健師の松尾礼子さん(84)に登場してもらっている。

 「毒飲ませた」苦悩に伴走」「交流続け半世紀 みんな「私の子ども」「脱水状態の子 必死の姿浮かび調 査参加を決意」「手弁当の訪問 我が子の後遺症 語りだす親たち」「最後までヒラ だからこそ 地域に尽くせた」
という見出しで松尾さんと事件との関わり、子どもたちのその後などを伝えている。


 1950(昭和30)年、森永乳業株式会社徳島工場製造の調製粉乳にひ素を含む有毒物質が混入したことに起因して、近畿、中国地方を中心に乳幼児に数多くのひ素中毒患者が発生した食中毒事件について、この機会に、書いておきたくなった。

 乳児130人、12000人以上が被害に遭った森永ヒ素ミルク事件が起きて、14年後といえば、後遺症は残らない、事件は解決したことにされていた時のことである。

 大阪大学医学部の丸山博教授(96年に86歳で死去)が事件後の子どもたちの様子を追跡調査していた。
 医師の熱意と子どもたちのために動くという保健師として使命感で調査に参加したことで、子どもたちの苦しみを知ることになった松尾保健師。

 この記事を読みながら、頭に浮かんだのはサリドマイド薬害事件であり、有機水銀中毒である水俣病であり、カドミウムによる中毒であるイタイイタイ病であり、ポリ塩化ビフェニールなどダイオキシン類による中毒であるカネミ油症である。

 2025年、事件から70年が経つも、10月時点で連絡がと取れている被害者5145人。うち、571人が何らかの障害を抱えている。

 被害者の苦しみを思えば、森永ヒ素ミルク中毒事件は無関係な自分でも、森永と耳にしただけでヒ素ミルクという言葉が頭に浮かぶほどだから、企業にとっても大変なダメージを負ったことになるだろう。

 患者にきちんと向き合っている森永の名誉のために書いておく。
 森永は事件を風化させない取り組みを続け、被害者との「ひかり協会」の運営費用を負担し、国や被害者の「守る会」と定期的に今後の救済について話し合う。
 「事件は我々が生涯背負うべき十字架だ。全社を挙げて救済事業への責任を果たす」と木下明渉外部長は約束している。

 ここが逃げているとしか思えないチッソとは違っている。

 薬害サリドマイド、カネミ油症、胎児性水俣病、そして、森永ヒ素ミルクいずれも子どもたちに生まれながらにして重き荷物を背負わせていることに目が向く。
posted by 遥か at 12:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境問題・公害問題

2025年11月10日

道路陥没全国で9866件 埋設物原因が2割

 2024年度に全国の道路で起きた陥没は計9866件に上ることが7日、国土交通省のまとめでわかった。23年度の1万2209件から2割減となった。原因別では、上下水道管などの地下埋設物の破損が全体の約2割に上り、同省は自治体に適切な点検を求めるとしている。と11月8日の読売が伝えている。


 1月に起きた埼玉県八潮市の県道陥没事故が未だに収束していない。
 年末を迎えようという時節になっても復旧できないほどの大惨事で、単なる事故のレベルではなく最早災害と言っても過言ではない。

 ライフラインという言葉がある。
 電気、ガス、上下水道、そして道路のことを一般的にライフラインと呼んでいるが、別の見方をすれば重要な都市基盤でもある。
 仮に、生活が困窮し、料金が支払えなくなると、電気、ガス、水道の順に止められる。何故、水道が最後になるかといえば、水がなければ生きていけないということとは関係なく、水道はお役所が関わっているからだ。
 水道を止められたら公共施設、手近にあれば、公園のトイレや水道を使うということを耳にしたことがある。

 その水道を民営化しようと言い出した怖ろしいことを考える身勝手な人間がいる。

 東京一極集中のことを集積の利益と呼んでいたことがあったが、人口が多い分、税収も多いから東京都の財政は青森や沖縄みたいな貧乏県(誹謗中傷するつもりはない。両県ともに好きだから怒らないで)とは大きく異なり裕福である。
 その証拠に、コロナ渦で飲食店にだけカネを配った。
 その東京都では、23区と三多摩と呼ばれる市部があり、水道を例にすれば、三多摩は昭島市を除けば、各市が都から受託するような形で運営していたが、すでに、東京都に一元化されている。

 ために、都では老朽化した水道管の取り換え工事は計画的に進められている。
 下水道は各市が担っていたから、財政力が豊かな自治体から下水道が敷設されてきたが、かなりの地域で、トイレの水洗化が進んだ。

 水道が民営化されたら、カネ儲け、効率化などから、財政力が弱い地域の水道管は老朽化しても新しいものに交換できなくなるし、交換するとなれば、水道料金が大幅に値上げされてしまうことになる。

 都市基盤整備とライフラインの補修はやはり国が責任を持たなければできないことは明白である。
 国は各自治体に「点検を徹底してほしい」と呼びかけているが、点検はともかく、八潮の事故を考えれば、国が支援しなければ、収束できそうもないではないか。

 国道は国、県道は県、市道は市という行政の割方では道路陥没問題の解決は難しい。
 道路埋設物といえば、なんと言っても上下水道、とりわけ、今回の事故原因である下水道管は猛毒の硫化水素を発生させるため、調査でも危険が伴う。

 道路陥没は事故というよりも大災害につながることを思えば、取り換え工事に猶予する時間はない。
posted by 遥か at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 災害対策

2025年11月09日

受刑者と文通、更生を後押し

 東京都内に住むウェブディレクターのサユリさん(58)が受刑者と文通し、更生を後押ししている。と11月6日の読売(福益博子記者)が夕刊で伝えている。

 2021年、受刑者支援団体「ほんにかえるプロジェクト」が受刑者に本を送ったり、文通したりして社会との接点を持たせる活動をしていることを知り、サユリさんも文通を始めた由。

 文通相手の多くは無期懲役などの判決を受けた受刑者。不安もあったが、文通を重ね、「受刑者も一人の人間。思いを受け止めてくれる人がいたら、真剣に罪に向き合えるのではないか」との思いを強くした。

 被害者遺族の中にも手紙が立ち直りのきっかけになったケースがあるとして紹介されているのは大阪池田小事件の遺族本郷由美子さん(59)。
 1999年に発生した米国の高校で発生した銃乱射事件の遺族との手紙のやり取りで、話を聞いてもらうことの大事さを痛感し、2016年に東京都内に被害者遺族や家族と死別した人の悲しみを癒す「グリーフケア」の拠点を開設した。


 物心ついた頃から、わが家で購読していた読売の「人生案内」を毎日、読んでいる。
 その人生案内で、回答者、確か作家だったと思うが、つらいことがあったりした時、文章に書くことを薦めていたことが時折ある。
 書くというのは、自分を見つめ直すことに役立つ優れた行為で、受刑者が立ち直る意思があれば、文通はきっと役に立つはずだ。

 更生といえば、刑務所や少年院などで犯罪者の処遇の一方法に「内観法」がある。
 藤本哲也『犯罪学者の独り言』(日本加除出版)の22〜29頁に書いてある。

 中央大学の名誉教授で米国に留学した時に知ったとあるが、浄土真宗の求道法である「身調べ」を吉本伊信が宗教色を除き、一般向けに開発したものだと藤本先生は解説されている。
 「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の順番で、過去から振り返ることによって、人間は、自分が忘れていたり見逃していた、自分の対する他者からの愛情を記憶の中からよみがえらせることにより、自分と他者との関係を明確にすることが可能になる。

 このことは指定暴力団山口組の顧問弁護士だったこともある山之内幸夫元弁護士も指摘している。
 貧しくとも親の愛情を十分に受けた子どもは、簡単に人を殺めたりできない。親の愛情を受けられなかった人たちが暴力団員になっている。
 自分も貧しい暮らしながら親の愛情を受けて育ったから道を踏み外さずに来られたというような形で親の愛情の大事さを語っている。

 文通をする相手がいることで、自分を見つめ直すきっかけができ、さらに、内観法というか自分を見つめ直すことで、更生の意欲がわけば、更生につながっていく。
 本人に更生の意志がないものを更生させることなどできるわけがないということだ。

 手紙での文通とメールでのやりとりでは大きな違いがある。
 手紙は残る分、考えながら書くことが自分を見つめ直すことにつながるが、メールは簡単に打てる分、自分を見つめ直すことにつながらない。

 メールが全盛なのは、簡単だからで、考えないと書けない手紙での文通はそれだけ、心が伴うと言っても過言ではない。
 それだけ、相手の心を揺さぶったり、動かすことにつながるということ。

 「本にかえるプロジェクト」のことは以前書いているので、今回は省く。

2025年11月08日

富裕層増税訴え 反トランプ候補がNY市長に

 ニューヨーク(NY)の市長選が4日投開票され、民主党のニューヨーク州下院議員のゾーラン・マムダニさん(34)が当選した。マムダニさんは自らを「民主社会主義者」と位置づけるウガンダ生まれの移民で、ニューヨークで初のイスラム教徒の市長となる。富裕層への増税を訴え、物価高、格差社会に不満を持つ若者たちに支持された。とメディアが一斉に伝えている。

 11月6日の読売(山本貴徳、池田慶太記者)がスキャナーで「NY市長に『反トランプ』「34歳マムダニ氏」「急進左派 富裕層増税訴え」「民主、2州知事選も勝利」「中間選へ路線対立激化も」という見出しで論評しながらマムダニ氏が勝利を収めたことを伝えている。

 「民主社会主義者」を自認するマムダニ候補は、家賃の値上げ凍結や公共バスの無料化、保育費の軽減などの公約を前面に打ち出し、草の根の運動を展開.SNSを駆使して公約をわかりやすく発言し、格差是正を求める若者を中心に支持を広げた。
 財源として、大企業や富裕層への増税を訴えており、経済界から警戒の声も出ている。
 反発する富裕層の転出が相次げば、市財政への打撃となる恐れがある。
 急進左派を敵視するトランプ大統領は市に対する連邦政府の補助金の停止を示唆している。


 シングルマザーや収入の低い家庭の子どもたちが満足に食べられないことから、見かねた心ある人たちが子ども食堂を開設し、このことが全国的に広がりを見せている。
 学校給食の現場で働く職員から耳にした話では、学校が春、夏、冬休みになると、子どもが昼食を満足に食べられない。子どもたちだけでなく、母親が学校の休みを嘆いているというのだ。
 ふだん、学校給食で腹いっぱいというか、栄養価を考えた給食で満足させてもらっているだけに、つらすぎるという声が届いているという。
 
 自民党政権が経済界、富裕層の支援を受ける分、派遣労働を認め、労働者を非正規雇用化したことことと、金融商品などの取引での課税のぬるさなどから、わが国でも貧富の格差が大きくなってしまった。
 子ども食堂のことを伝えるメディアは、貧富の格差を是正することを訴えず、心ある人たちの善意にばかり目が向く伝え方をしている。

 若い頃、人身売買問題に目覚め、売春と春を鬻ぐ女性たちのことを学び始めた。
 わが国がアジア太平洋戦争に突入していく契機となった事件として、2・26事件のことを知った。
 当時、東北地方の寒村では、貧しさから娘たちを身売りさせるようになり、息子たちは食べるため兵士になった。2・26事件を起こした青年将校の部下にその兵士たちがいて、妹が身売りせざるをえない世の中はおかしいと決起に従う様子が描かれていたのが高倉健、吉永小百合の『動乱』だった。

 娘たちの身売りから人身売買と貧困問題が連動していることに気づき、貧富の格差について、政治が何もしないことに怒りを覚えるようになった。
 
 子ども食堂が全国に広がりを見せるようになり、その怒りの矛先が貧富の格差是正に関し、何もしようとはしない政治家に向く。

 そこに登場したのがれいわ新選組の山本太郎代表だった。

 「生きているだけで価値がある」と弱者に温かく寄り添い、大企業や富裕層への増税を訴える山本太郎代表こそ、真に弱者のことを考えてくれる稀有な政治家として、敬意を表し、応援するようになっていく。

 貧富の格差がここまで開いてしまったかと驚きを超えた米国では貧しきものたちがトランプ大統領を支持した云々とされているが、思考力があれば、トランプ大統領が貧しき者たちの味方でないことくらい見抜いている。

 ニューヨークで民主社会主義者を自認する34歳のマムダニ候補が勝利した背景には、思考力のある若者たちが富裕層増税を訴えるマムダニ候補こそ真の弱者の味方だと判断したことが挙げられる。
 トランプ大統領がこれから嫌がらせをするらしいから、マムダニさんには大統領選挙に出てもらいたい。絶対勝てる候補だ。

 イーロン・マスク氏へのテスラの報酬が何と150兆円だと伝えられている。
 半分税金で納めてもらっても75兆円手許に残る。

 日本でも富裕層に収入に見合った税金を納めてもらい、国家最高勲章を天皇から渡してもらうようにするのも一案だとおもう。
posted by 遥か at 17:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2025年11月07日

12歳のタイ人少女を人身取引 日本国の恥

 11月6日の日テレnews zeroによれば、個室リラクセーション店で、タイ人少女(12歳)に性的な行為をさせたなど違法に働かせたとして、経営者の男ら2人が労働基準法違反などの疑いで逮捕された。少女は母親に「人身取引」目的で日本へと連れてこられ、置き去りにされたとみられている。

 「人身取引」被害者保護数は、2006年から一時、減ったが、再び増加傾向にあり、2024年は66人となった。そのうち58人が日本人だ。

 「人身取引」とは、売春させることや強制労働などを『目的』に暴力や脅迫、だますなどの『手段』を使って、人を『獲得、引き渡す行為』などを指し、18歳未満に関しては、暴力や脅迫などの行為が認められなくても、人身取引とみなされる。

 「人身売買禁止ネットワークの共同代表・吉田弁護士は『こうした人身取引の背景には、被害者と加害者をつなぐブローカーがいて、これも加害者だ』「また『今回は明らかに未成年の少女が働いているにもかかわらずサービスを受ける客側にも大いに問題がある。児童買春は犯罪だが、インターネットなどには性的なコンテンツがあふれていて、法に触れているという意識が薄れてしまっている。政府は啓発を行っているが、それだけではなくならない。処罰の範囲を広げ、厳罰化することが必要ではないか』と指摘している。

  日テレ【匿名通報ダイヤル】0120-924-839
  受付時間(月〜金)午前10時〜午後5時


 人身取引というから何のことかと思えば、人身売買のことではないか。
 江戸時代、公娼制度を幕府が容認し、寒村や貧しい地域の娘たちが忘八者と蔑まれていた女衒の手から、同じく忘八者の廓の主に売られ、逃げることもできず、搾取されながら性奴隷として売春を強要させられた。
 瘡毒(そうどく)と呼ばれていた梅毒に罹患したり、吉原であれば、病気になって死ねば投げ込み寺と呼ばれていた浄閑寺に捨てられた。

 今ではブローカーと呼ばれている女衒は当然、人身売買の共犯者であるが、当時は幕府が容認していた公娼制度に守られた人身売買制度と被害者の性奴隷が、明治以降廓清運動が起きても、アジア太平洋戦争が起きても、一向になくならず、ようやく管理売春を防止する売春防止法ができたのは1956(昭和31)年のことで、赤線が廃止されたのは1958(昭和33)のことである。

 「自由のために」をスローガンに毎日、書き続けている自分としては、自由を奪う人身売買、性奴隷を生み出す輩には、破れ傘刀舟先生が登場してくれたら、「許せねぇ!」「てめえら人間じゃねえや!叩っ斬ってやる!」と一刀両断にしてもらえるところだ。

 自分の家族が人身売買され性奴隷にされたらと想像するだけで、携わる者たちへの怒りがこみ上げてくる。
 日本という国の恥となる人身売買をなくすために、関係者を厳罰にすべきである。
posted by 遥か at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 人権

2025年11月06日

苦境乗り越え三味線づくり

 政治部は政府自民党の機関紙化して読む気にもならないからスルーしてる読売であるが、社会部は語り継ぐ戦争に力を入れ、しっかりした仕事ぶりで高く評価してきた。
 近年、「日本美を紡ぐ TSUMUGU 紡ぐプロジェクト」というこれぞジャーナリズムという素晴らしい内容の記事を掲載している。
 「歴史ある楽器を守る」をテーマに伝統的な楽器を作る職人の技術継承や材料の確保は高齢化や自然環境の変化などによって難しくなっているとして、その11月2日は、邦楽器、洋楽器の中から篳篥(ひちりき)や三味線、グランドピアノ、パイプオルガンなどの製造、修理に携わる職人の働きぶりにスポットを当てている。

 楽器の中から自分にとって身近な三味線について、書いておく。

 東京八王子市の「東京和楽器」は1885年創業の老舗三味線メーカー。
 3代目の王滝勝弘さん(85)は従業員13人と役割り分担しながら三味線作りをしている。
 演奏人口の減少とコロナ渦で2020年に一度は廃業を決めた。
 栄枯盛衰は世の常なれど、昭和の高度経済成長期には津軽三味線ブーム、民謡ブームで、月350〜400丁作ったこともあったのにである。
 廃業を知った小売店や邦楽ファンが同社を救おうと支援に乗り出してくれた。
 大瀧さんは奮起し営業を継続することにした。
 「国の支援(国による三味線の買い上げなど)があって、何とか経営を維持しているのが実情」だとは大瀧さん。


 ご先祖をはじめ、多くの人たちに支えられ、50代半ばを前に早期退職したことで、ストレスから逃れ、炎症性腸疾患クローン病を抱えながらも、後期高齢者になるまで生きられた。
 嫁いでいる姉が「あんた、よくここまで生きられたね」と言外にもっと早くに死ぬと思っていたことを明かしたことがあったくらいである。

 というわけで、語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚では、慰霊碑の前で経を唱える代わりに尺八を吹き、供養の祈りを捧げてきた。

 古希を過ぎてからのことだが、親族から「母親が大事にしていた形見の津軽三味線を処分したいが、どなたか紹介してもらえませんか」と依頼があった。
 連れ合いが箏、十七絃、地歌の三味線を楽しんでいることを知っていての頼みだった。

 若い頃、青森を旅し、津軽三味線の高橋竹山さんの渋谷のジャンジャンでのライブを聴いたことがあるので、わが家に津軽三味線一式がやってくるのは何かの縁かもしれないと思った。

 楽器には楽器の神様がいるというのが、自分の考えでもあることから、それなら、津軽三味線を習うかということになり、おつきあいのある三味線工房で破れた皮を張り替えてもらい、近くに住む師匠を探してもらった。
 意気地なしの自分は一人では習えず、地歌の三絃で三味線に慣れている連れ合いを拝み倒して一緒に始めた。
 芸能人並みに多忙な連れ合いは、嫌そうだったが渋々つきあってくれた。

 そうして始めたのが、2021年の秋のことだから、古希を過ぎてからのチャレンジであった。
 和楽器の指導では、楽譜を使う場合と口伝という楽譜なしでレッスンを受ける方法がある。楽譜のない口伝だったから、覚えるのが大変だったが、時代に助けられた。
 そう、スマホで動画を連れ合いに撮ってもらい、自宅で見て、連れ合いのアドバイスを受けながら、おさらいをすることを繰り返し、月に一度のレッスンがこの秋で4年が経った。
 この間、津軽三味線の初心者が習う曲、「六段」を何とか弾けるようになった。

 三味線は指を使うし、無論頭を使うので、ボケ防止と思って始めたが、なんでも新しいことにチャレンジするのは大変だ。

 連れ合いがつきあってくれたから今日まで続けることができたが、一人では絶対不可能だった。

 自分の津軽三味線レッスンの顛末を書いたが、津軽三味線はその名の通り、青森県は津軽地方の名前を冠にし、津軽民謡を支えている。
 青森に行くと、津軽三味線は土地と風土にすっかり根付いている。
 楽器は異なるが、同様に沖縄には三線があり、沖縄民謡を支えている。

 日本大好き人間の一人としては、日本の伝統芸能、伝統工芸など日本の美、日本らしさというものを残していきたいと強く願っている。
posted by 遥か at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝統芸能、伝統工芸

2025年11月05日

激戦地 摩文仁に立つ「静岡の塔」で追悼式

 静岡県は6日、沖縄県糸満市の摩文仁(まぶに)の丘にある「静岡の塔」で追悼式を開く。戦後80年にあたる2025年、鈴木康友知事が知事として20年ぶりに出席する予定だ。と11月5日の朝日新聞(長橋亮文記者)がWEBで伝えている。

 静岡の塔は1966年、アジア・太平洋戦争の際に沖縄や南方地域で戦没した県出身者約4万人の霊を慰めるため、県民らの寄付で建立された。県は毎年、現地で追悼式を開催している。

 2025年は約200人が参列する見込みで、2024年の91人から増える。参列する遺族100人のうち、孫・ひ孫世代が31人を占めるという。

 県は若い世代の参列を促すため、今年度は遺族への助成を拡充。従来の1人あたり2万円に加え、戦没者の孫に3万円、ひ孫に6万円を上乗せする。

 鈴木知事は記者会見で「戦争体験の継承は一刻の猶予もない」と強調。「80年前に激戦が繰り広げられた摩文仁の丘に実際に立ち、戦争の悲惨さや平和の大切さを感じ、次の世代へ語り継いでもらうことを期待している」と述べた。5日には富士山静岡空港で遺族らが参加する出発式が開かれる。


 ふだんの暮らしで静岡県はほとんど縁がないが、2010年3月、熱海にある興亜観音にお参りし、2018年の5月に唐人お吉さんの供養のため下田に行ったことがある。
 語り継ぐ戦争では東海道新幹線で京都大阪方面に行くとき、車窓から眺める景色で確認するくらいだが、リニア新幹線の建設に反対していたことくらいは承知している。

 さて、沖縄の南部戦跡、糸満市摩文仁には平和の礎を筆頭に数多くの慰霊碑がある。
 その慰霊碑には都道府県ごとに慰霊碑があったが、全都道府県の慰霊碑があるかは確認したわけではない。

 平和の礎のごとく、沖縄県民に限らず、敵味方、国籍の区別なく沖縄戦の犠牲者の名前がすべて刻まれていることにいつも沖縄県民の懐の深さというか、心の豊かさを思い、敬意を表してきた。

 摩文仁に都道府県別の慰霊碑があるように、兵庫県の姫路市の手柄山中央公園には太平洋戦争全国都市空襲慰霊碑がある。
 2010年11月に手柄山中央公園に行き、お参りしてきたが、訪ねて来る人はいないようだった。
 階段状に慰霊碑があった。全部確認したわけではないがかなりの数になる。

 せっかくだから姫路城を見学したいという連れ合いの願いで、訪れたら、なんと修復工事中だったことは忘れられない。

 慰霊碑の数は断トツ沖縄が多いと思うが、慰霊碑というものは、建立して終わりではなく、「忘れてはいないよ」と声をかけながら、今を生きるものたちがお参りしなければ意味がない。

 語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚を続けて来たのは誰かから頼まれたわけでもなく、全くの個人的な戦没者への思いである。

 そう、戦没された「あなたのことは忘れていないよ」と声をかけながら、死者の無念の声に耳を澄ますというか思いを察するのだ。

 こうすることで、戦争を起こさないように、戦争に巻き込まれないように気持ちを新たに、戦争を語り継いでいくのである。
 静岡県以外のことは不明ながら、静岡県の戦争を語り継いでいく姿勢は高く評価できる。